やっぱりといいましょうか。
ロキの圧勝でした。
当初、イタズラ防止のためにジャドを選択肢に含めないようにしようとおもっていたのですが、いくらジャドとは言え、仲間はずれはよろしくないと思ったので含めました。
やっぱり強いです。剣で直接ぶった斬ることもあれば、剣圧のようなもので、鎧も骨も叩き斬ってしまいます。
イケおじはやっぱりロキだぜ!
ロキの性格は悪。職業は君主。
かつて、善のパーティーであるサコン、シルヴィア、モルグらとともにワードナを討伐したことがあります。「ワードナの魔除け」を奪い返し王宮に届けたため、二度とワードナに会うことはできません。倒しても倒しても現れるワードナ。ダンジョンからモンスターも消えないし、謎だけが残ります。あれだけ苦労したのに、何の変化もない。倒した当人たちが腑に落ちず、何か、謎を解く手がかりがないかと迷宮に潜りたくなるのでしょう。
ロキは、ワードナを倒したあと、トレボー城塞を去り、どこかの土地の領主を務めていました。カルラへの指導ぶりを見ていると、下のものに対しての接し方に優しさを感じます。領主としても良い仕事をしていたのでしょうね。
カルラは訓練場で基礎をしっかり身につけましたが、実戦での戦いはまだまだです。せいぜい、エルフの里で裸ニンジャと思しきエルフを叩き斬った程度です。実力が上の相手に対しても、軽々しく喧嘩をふっかけたりと己の力量もわかっていなかったと思います。
カルラは当然、努力すればリョウを超えられると思っていたのかもしれませんが、ロキは、リョウの動きは天賦のものであると見抜いていました。敵を知り己を知ることが、もう一段階強くなるために必要なことである…、がむしゃらに突っ込むだけが脳ではないことを、実戦を通じて教えていく。
誰でも言えそうな内容です。
しかし!
ロキが言うから言葉に重みがあるのです。
酒場で巨漢の戦士を素手の攻撃数発で半殺しにしてしまった。地下9階のトロルですら、素早い動きで翻弄し、剣圧のようなもので粉砕。
「が、ついてこい」
「そのうちおまえの血となり肉となる」
「見るのも修行のうち」
ジャドも強いことは強いのですが、カルラの神経に触りそうな言い回しで説教するもんだから、カルラも苛ついちゃうんですよね。ジャドは性格がとんでもなく悪いので、カルラのプライドの高さや、何を言えば怒るのか、傷つくかを把握した上で言っているのでしょう。
この性格の悪さにより、神経が図太そうな「中立ニンジャのモルグ」も、メンタルを相当やられたはずです。
その点、ロキはカルラの自尊心を傷つけず、良いところは認め、悪いところは改めさせる。カルラのようなタイプは、理屈を言ってやるよりも、論より証拠で見せつけた方が飲み込みが早そうです。弟子の性格を見抜いた上で、どれだけ早く成長させるかをきちんと考えてくれていたのがロキだったと思いました。
後進に対する指導力の高さは「イケおじ力」の高さに繋がります。
領主を務めていましたし、パーティーの司令塔としても非常に優秀です。
地下10階でサムライやらニンジャ、レイバーロード、メイジらの大集団に襲われた時、フラックの存在を見抜き、すかさずエリスにティルトウェイトを唱えることを指示。
フラックのブレスとエリスのティルトウェイトの衝突時。
仲間のモブメンバーはこの爆発で死んでいそうですが、ロキはしっかりと耐えていますね。
ロキのカリスマ性、指導力が素晴らしいのは重々承知しておりますが、改めて見るとHPの高さに驚きます。戦闘での疲労、回復呪文を使ったということもあるでしょうが、割りとピンピンしていますよね。
ディスペルも使えるロキ
剣の腕に注目してしまいがちですが、回復呪文やディスペル(解呪能力。アンデッドを成仏させる)にも長じております。愛弟子のカルラが数レベルドレインされた時、「カルラーーーーー!!!」などと言いながら助けに向かうのではなく、解呪で「ズフッ」と腕を焼き切る姿に痺れました。
意外や意外?
彼がロードという設定を忘れた読者もいたのでは?
巨人にドラゴン、アンデッドらの大集団。
深手を負ったロキパーティー、マイルフィックらと戦い疲労困憊のサコンパーティーにとって、あまりに負担が大きすぎます。切り抜けるだけでも精一杯。いや、それすらも無理だと思います。
それを察したロキは、次代の戦士たちを残すために盾となり…。このシーンは本当に泣けました。レビューでも書きましたね。
これが生者としてのロキの最後でした。゚(゚´Д`゚)゚。。
数年後、ワードナの操り人形となって、カルラたちの前に立ちはだかりましたが、意識は完全に失ってはいませんでした。けじめをつけるために、カルラが自らロキの止めを刺しました。
いや、止め…などというより介錯ですね。
二度とワードナの走狗にならないよう、火葬してくれました。
ロキはカルラに対して師弟関係だと思っていかもしれませんが、カルラはロキを父親だと思っていました。ここでもグッと来ちゃいました。゚(゚´Д`゚)゚。カルラは普段クールなキャラですが、もしかしたら、一番情に熱くて肉親への愛に飢えていたのかもしれませんね。彼の父はトレボーですが、母親一人手で育てられましたから。
ロキ、サコン、シルヴィア、モルグ…。彼らが見事にリョウ、カルラ達にバトンを繋いでいくドラマと言っても過言ではありません。3巻と決して長くはない物語なのに、巨悪を倒すこと以外に、ヒューマン・ドラマとしての完成度も高い。そして、読み終わった頃には、ロキやサコン、そして、シルヴィア達が10代、20代前半の頃の話も読んでみたいと思わせてくれる…素晴らしい冒険物語でした。
大人になって改めて「漫画ウィザードリィ」を読むと、中年キャラの存在の尊さ、物語の中核を支えてくれているのがよくわかりました。その最も中心にいるのが、ロキなんだなぁ…と思いました。
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