時空を超えた壮大なる兄妹ゲンカ。ショウVSケイヒ…。
何のためにこの二人が戦っているのか、戦う意義が全く見いだせません。もちろん、ケイヒにとって自分の存在意義を示すための戦いであり、ギルにそそのかされた部分もあるのでしょう。でも、本当に無益な戦いなんですよね。
馬鹿げた兄妹ゲンカを止めるべく、ルーは強力な日本刀を担いで雪深くなった道なき道を進む。
辛えなぁ…ギルの手下や悪魔などの化け物でなく、人間同士、それも兄妹同士ですよ。世界名作劇場のロミオの青い空で、準主役のアルフレドとその妹のビアンカが登場します。不幸のどん底に落ちても、兄妹力を合わせて絶望から這い上がろうと奮闘する兄妹に心を打たれました。だからこそ兄妹の殺し合いは辛い。
ルーもぶっきらぼうなところがあるけれど、うまく仲裁できそうですよね。自分の恋人と将来は義妹になる可能性が高い女性が殺し合いをしているのです。必死で止めてくれるはず。
認められなかったケイヒ
生来の超回復能力に加えクサナギ装備の回復力により、異常なスピードでHPが回復ショウとはいえ、鳳龍の使い手と戦いながら鳳龍奥義を連発していては、披露もダメージも蓄積してしまいます。刀に鬆(す。※鋳物にできた空洞部分。)も入ってしまい威力が弱まっている様子。ショウもケイヒも限界に来ています。
ケイヒの回想へ。
父親は鳳龍の後継者としてショウに期待していたのでしょう。ショウの兄たちが相次いで討ち死にしたため、ショウに白羽の矢が立ったというのもあるのでしょうが、剣の腕に関してはもっとも素質があったから惚れ込んでいたのでしょう。ショウが行方不明になったため、残った娘のケイヒに鳳龍の未来を託すしかない。しかし、剣の腕や鳳龍としての素質はショウに及ばなかったため、鍛錬すらも放棄したようです。
「おなごはおなご…子供を産むより―」
からの、この展開だったんですね。
自分の娘を犯そうとするまで、鳳龍の強さに身も心も侵されていました。
いなくなった息子に思いを馳せても仕方がないのに。孫娘を鍛えて、オリンピックで金メダル、国民栄誉賞を取れるよう柔道を教え続けた「YAWARA!」の猪熊滋悟郎先生の爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
ケイヒ自身、剣が好きだったと思います。女伊達らにという社会において、剣で身を立てていけたらいいなと思っていたのかもしれません。兄たちが次々と討ち死にし、父親から期待されかけていた分、余計鍛錬に打ち込んでいました。
ケイヒとルーの境遇
この辺、事情は違うもののルーと境遇が似ていますよね。
ルーの場合は、お父様が跡取りに恵まれないため、「ルー、お前は男だ!」と言われて剣を学ばされました。その後、お世継ぎたちが生まれたので「ごめん!やっぱりお前は女ね!女らしくして!」と言われて^^;ルーとしてはいきなり方針転換されて相当頭に来ていましたからね。宮廷にいるよりも戦争での…最前線を選びました。
ケイヒの場合は、父親から「女だからやっぱり無理だな」と見放されていましたからな…ケイヒの方が辛い。
二人共父親から「お前はやっぱり女なんだから」と、言われたのでしょうけど、言葉の重さがまったく違う。それと彼女たちの性格の違いも影響しています。
「親父の言うことなんて聞いてられないわ!」
と、思いつつ戦場に赴いたと思うんですよね…ルー。
父親に強姦されたかけ、過剰防衛となり父を殺してしまったケイヒ。
仮に父親に襲われなかった場合、彼女はどんな進路を取っていたのか?
父親に逆らうことはまず無いだろうから、どこかの武家に嫁に出されていたか…。あるいは、父親が見込んだ男を養子にとって結婚させたか。
妹の思いを受け止めてやれよっ!
そんな哀しい過去を背負った妹の…ケイヒの思いを受け止めてほしいんだ。ショウっ(# ゚Д゚)!
そして…ケイヒが涙を流し始めた…!存在価値、存在意義を自分に問い始めている…眼の前には実兄が。
「兄上―兄上―」
ケイヒ。゚(゚´Д`゚)゚。
ケイヒよぉおおお~!
なんとかしてあげたい。受け止めてあげたい、さまよえる仔羊を!
私がショウだったら、刀を捨てて駆け寄って抱きすくめるけどな!剣も、クサナギ装備も捨ててかわいそうな妹を抱きしめて上げるのが、優しさってものよ。
ショウ、流石に心が揺らいだのか?
「―妹!確かに鳳龍の剣術の使い手ならば可能性は―」
と思ったものの、この時代にいるとは思わなかったのでしょう。ショウのように思うのが当たり前です。しかし、自分もタイムスリップしてきたし、何年、何十年と眠りについた後蘇った人間なんてザラにいたはずですし、ショウ自身も見聞きしてきたはずです。思い至って欲しかった。
「兄上参る!」
真正面から斬りかかるケイヒ!
ほらっ!「兄上」って言っているじゃないか!刀を捨てろぉ!ショウ!
「接近戦か―」
じぇねえよ!
受け止めてあげなきゃ…そこは…。
いや!
刃は受け止めたか!?
なんという良い引き!
私が読んでいるのはもちろん単行本。もし、これが連載中だったら次号が待ち遠しかったはず。
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