「赤毛のアン」を読んでおります。
村岡花子女史が翻訳されている原作本です。
ブックオフで110円で購入。
アマゾンだと1円…。
アニメで見たいのですが、You Tubeでは1話しかアップされておらず、それすらまだ見ておりません。赤毛のアンがここまで読者を引き付け、寝る時間さえも奪ってしまう名作文学作品とは全く知りませんでした…。
おそらく私が物心付く前にアニメが放送されていたようです。確か…私が小学生くらいの頃、母親が再放送を見ていて「赤毛のアンは面白いねえ」と言っていた覚えがあります。
女の子向けのアニメかなと思って見ようともしておりませんでした。
名劇にハマってはいたものの、アニメで面白いと感じた作品の原作をあたっておりました。
しかし、これまた「七人目のミイラさん」の動画の影響ですよ。
「赤毛のアン」がソウルキャリバー化して、「小公女セーラ」と闘っていたんです。
一体何事かと思いまして。
そこで赤毛のアンも気になり始めました。
出版年を見ると昭和29年。
終戦からまだ10年経っていない、復興真っ盛りの日本です。
日本洗脳のため、GHQが欧米の良い面を日本に刷り込もうとした…なんてことを想像してしまいましたが…、考えすぎですね。例えそうだとしてもこれほどの作品を翻訳してくれた村岡花子女史には大感謝!
ずいぶん昔に翻訳されたので、「英語の原文と違う」とか「差別的な言葉が」などと、最近よくありがちな批判もあるかもしれませんが、これがまたいい味を出しています。私は、当時どんな言葉や言い回しが使われていたのかを知るのが好きので、最近になって翻訳されたものよりも興味深いです。
平成11年の第113刷。この時期も「言葉狩り」があったはずですが、原作を尊重するのと、平成前期は今と比べて言葉の表現については多少なりとも寛容だったのかもしれませんね。
マシュウが雑貨屋さんで「きちがい」扱いされていますし。
「これはてっきりきちがいにちがいない」
キャラクター
アンを取り巻く人たちは個性派揃いですし、マリラやマシュウ、腹心の友であるダイアナとのやり取りが読んでいて小気味よくテンポが良い。最初読み始めた頃は、アンのセリフがとてつもなく長く「よく喋る女の子だな…このペースで話されたら読むのがしんどそう…」と正直思いましたよ。
しかし、それが彼女の魅力だということに、すぐに気づきました。
赤毛のアンは長い物語です。アニメを見るのは良いけど、原作を読み切るのはちょっと…と思う方がいて当然です。
私がシュールだなと思ったところを上げていきます。みなさんがこれを見て原作に手を出すかどうかはわかりませんが…一人でも多くの方が手にとっていただけたら幸いです。
一言で言ってしまうと。
「アンの風変わりなものの言い方よりも、そのいきいきした熱中ぶり、あけっぱなしの気性、かわいらしい態度、やさしい目つきや口つきのほうに気をひかれてていた。」
ダイアナのお身内のバーリー氏の言葉、まさにこれです。この一言がアン、そして作品全体の雰囲気を語ってくれています。私は風変わりな物の言い方も大好きですけどね!
さすが、「トムソーヤの冒険」の作者でアメリカの大文豪マーク・トウェインをして、「不思議の国のアリス以来の魅力ある人物」と言わしめただけのことはあります!
ジェリーブートという男
ジェリーという下僕のような男がマリラとマシュウ宅に住んでいるようなのですが…、登場回数が非常に少なく、セリフもなし。存在を忘れていたところにこんな描写が。
マシュウがアンに流行りの服をプレゼントしようと、お店を物色していたのですが、なかなか店員に切り出せず、照れ隠しで大量の黒砂糖を購入。
自宅に持ち帰ったマシュウはマリラから説教を喰らいます。
「・・・・これは奉公人のお粥か、果物入りの黒砂糖菓子に入れるより他には使わないのを知っているくせにさ。ジェリーはいないし、お菓子もとうの昔に…(略)」
今みたいにきれいに生成された黒砂糖ではないと思います。
普通の人がまともに食べる代物じゃないけれど、奉公人のお粥にぶち込んだり、ジェリーに食べさせるのは一向にかまわないようです。
ジェリーとは…一体…?
気になったので「赤毛のアン ジェリー」で検索したんですよ。
本当は検索したくないんですけどね。検索枠に赤毛のアンっていれると「赤毛のアン 〇〇死亡」とかネタバレ的なワードが出てくるんですよ。だから見たくないんです。
で、こんな動画が出てきました。
「ごわぁ~、おうぇ!」
汚い食べ方だな…。
そうさな…
ジェリーにならてんこ盛りの黒砂糖を食べさせてもかまわんな。
切り抜きだけど、喰ってばかりいますねwジェリー。
原作と比べるとかなり良い扱いです。アンと絡めるだけ大出世しております。
スタイルの良いアンが登場していて、私の脳内にある原作本のアンに反映されて、また惚れ直しちゃうじゃないですか…。ダイアナもめちゃくちゃスタイル良くなっているし。
アンの想像力のたくましさ
とにかく話しまくります。物語の序盤の大半はアンのセリフで覆われています。
音楽会や日曜学校、共進会、バーリーや牧師さんの家に遊びに行っても、そこでの描写はほとんどありません。帰宅してから、「ねえ、マリラ…」とマリラにその時の様子や出来事を語っていくスタイルです。
読者はアンの台詞を見て、そこで何が起こったのかをようやく知ることができるという塩梅です。出来事に加えてアンの独創的な想像力、創造力も楽しめます。
アンが脳内で物語を制作。それを文章化してダイアナに語るところは、私にとって名シーンの一つです。
仲の良い美女二人が一人のイケメンを恋してしまう。
美女Aが男性と結ばれそうになったのですが、嫉妬した美女BはAを川に突き落としてしまう。Aを助けにイケメンが川へダイブ。イケメンも美女Aも一緒に死んでしまう。
死んだ二人は仲良く同じお墓に埋葬。
「…コーデリアの方は後悔のあまりきちがいになってしまって、きちがい病院に入れられてしまうの。罪の報いとして、それは詩的じゃないかと思ったのよ」
ダイアナ「なんてまあ、すてきなんでしょう」
「トム・ソーヤーの冒険」で、トムの元恋人のエミーが「私可哀想なお話って大好きなの!」と言っていたので、19世紀から20世紀前半の女の子は悲劇的なお話が好きなのかもしれませんね。
ダイアナは本当に可愛げの有る子です。まだまだ序盤ですが、素直で、変わり者のアンにも柔軟に対応しているし、親切でとても義理人情に篤い女の子です。男でもこんな篤い男はなかなかいないと思います。アンが腹心の友と見込んだだけのことはあります。
学校のゴシップにも精通していたり、他のクラスメイトともうまく付き合っていて本当にコミュニケーション能力が高く、バランスが取れています。
何故かダイアナが出てくると安心するんですよね。
アンの影響を受けたダイアナは、アンが結成した物語クラブに加入!
相方アンの想像力に憧れたダイアナ先生の作品はどんなものだったのか?
「…それからダイアナのは、あんまり殺人が多すぎるの。いつも中の人物をどうあつかっていいかわからないもんで、かたっぱしから殺してしまうんですって。…」
いくらお話を作っても面倒なキャラから殺していく。三流ホラー映画の脚本家にピッタリ!さすが聡明なダイアナ先生!
可愛いのよ…。
ちょろっと書こうと思ったらダラダラと長くなってしまった…。
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