読書中の本についてレビューを書くつもりはなかったものの、「赤毛のアン」が面白くて書かずにはいられません。
アンが「クイーン学院」への受験を希望してからというもの、月日の流れるのが早いこと!これまでお転婆話をこまごまと書いていたのに、終盤ではジャンプの打ち切り漫画かと思われるほど、すごい勢いで話が進んでいきます。入学したと思ったら、試験、卒業!
第2巻の存在を知らない人が読んでいたら、ちょっと打ち切りを心配するレベル。
この作品の序盤、中盤での見所と言ったらももちろん「アンのおしゃべり」です。
しかし、クイーン学院への入学前後になると口数がめっきりと減ってしまいます。その代わりと言ってはなんですが、ダイアナ以外の友達のセリフが増えていきます。
アンが、11~13歳くらいまではアンが圧倒的に話しまくり、マリラ兄妹、ダイアナなどの主要キャラがそれに続く形でした。ルビーや、ジェーン、ジョシー・パイは登場するけれども、完全にモブと言って良いほどセリフはほぼなく、物語はじめの頃は、彼女たちの存在と名前を覚えられませんでした。
マリラがアンの口数が減ったことを悲しんでいます。
私も一読者として…非常に寂しく感じ、これから物語が重い展開へと言ってしまう予兆なのかと心配になります。
パーティーでのアン
アンはパーティーで暗誦をしましたが、緊張しまくりで舞台に上がってからも緊張が溶けずにカッチコチ。ダイアナらも観客席から心配そうに見守っていましたが、それでも緊張は溶けません。
しかし、アンの視界に写ったのはまさかのギルバート。
憎き…(この時点ではもう殆ど憎んでいないのですが)、素晴らしい好敵手として意識しています。そんな彼の前でみっともない姿は見せられないとアンは大奮起!見事に自分の発表を終え、更にアンコールにも応えます。アンコールに応えたのはマシュウ小父さんのため…という要素もあり感動のシーンでした。
「そうね、あたしは自分のほか、だれにもなりたくないわ。たとえ一生、ダイヤモンドに慰めてもらえずにすごしても」とアンは言った。
「あたし、真珠の首飾りをつけた、グリン・ゲイブルズのアンで大満足だわ。マシュウ小父さんがこの首飾りにこめた愛情が、ピンク夫人の宝石に劣らないことを知っているんですもの」
泣きました…。
マシュウへの敬愛、マシュウのアンへの愛情…。
「とても美しいお話よ…自分の書いたレビューを書いて泣けるんなんて…」
アンの成長を感じさせる描写が、更に読者の涙を誘う展開に…。
マリラはアンの長々した話に現実的かつ辛辣なコメントばかりしていましたが、アンの成長を見守り、アンの優しさに触れるに連れ、はっきりとした愛情表現をするようになります。
「なんだかすっかりちがってしまったようで…まるでアヴォンリーのものじゃないような…」
マリラの気持ちが痛いほどわかります。
アンは「いつもの同じアンよ、ちっとも変わらない。マリラとマシュウ小父さんと、この懐かしいグリン・ゲイブルズが好きになる一方なのよ」と答える…。
はぁ…じんわり来る。
物語後半は目頭が熱くなりっぱなし。
アンが旅立つときの描写も涙涙…。
アンが手違いでマシュウ、マリラ兄妹の元に来たことを感謝するマシュウ。
マシュウって人の心を見抜く力もあるし、心が本当にきれい。マシュウの心臓が弱っている描写があったので、それ以降マシュウが心配で心配で。マシュウが口を開くときは、アンへの溢れる愛情、哀愁のこもったセリフばかりなのでハラハラしてしまうんですよね。
クイーン学院入学
バーリー氏から下宿を紹介してもらい、小さくてもこざっぱりしていて素敵なんですが、はじめてのひとり暮らしです。寂しい気持ちものすごくわかります…。私も海外にほっぽりだされて(自分で志願したんですが^^;)、ひとり暮らしかつ、いきなり自分で住処探ししたときはドン凹みしたもんなぁ…。
家も友達も恋しいし。
そこへやってきのが、ジョシー・パイ。悪いやつではないのですが、性悪キャラとして描かれており、アンの口数が多かったときはしょっぱい嫌味が取り上げられる程度でしたが、アンの口数が減ってからはジョシーのセリフも多くなってきました。
「あんた泣いていたのね?」ジョシー・パイは癪に障るような同情ぶりを見せた。
まあ…この辺はモンゴメリー様がこんなツッコミを入れなければ、素直に読めていたかもしれないけど…^^;
ホームシックになってんじゃねえ!
あんな田舎町から出られてせいせいしたわ!
べつにあんたに会いに来たんじゃなくて、腹減ったんであんたのお菓子を喰い来てやった。
ズビズバとアンに暴言まがいのセリフを吐くジョシー。
でも、ジョシー・パイ程度でも来てくれて嬉しがるほどアンは落ち込んでいたんです。
しかし…
男子学生のフランク君という人の話になり、フランク君はアンに興味を持ったようです。
それがジョシー・パイの気に入らなかったのでしょうねえ…。
こんなことをほざいていました。
「…あたし、あんたが孤児でクスバート家にひきとられたんだってことや、あんたがそれまでどんなことをしていたのか、だれもよく知らないってことを話してやったのよ」
キーーーー!!!(# ゚Д゚)
割れ!
アン!
黒板でジョシー・パイの頭を割れ!
もう頭かち割って良いよ!
人参って言われるよりも腹がたちますね!
この時代の男女は現代人と違って成熟するのが早かっただろうし、分別もそれなりにあったんでしょうけど、子供っぽさは残っていますよね。
ジョシー・パイみたいなやつ、中高生のころ一人二人はいましたよね~。
「あいつ、小学生(中学生)の頃、〇〇したんだぜぇ~」
と言って過去の失敗を蒸し返してディスる奴。
ジョシー・パイも16歳くらいだし、分別もなく性格も良くないから、まあこんなもんか。
ジョシーといるより、かえって一人で泣いていたほうがましなんじゃいかとアンが思って…
めっちゃくちゃ凹んでいるじゃないか…。
アンかわいそう。
こんなに感情移入してしまうのは「黒い兄弟」以来だ…!黒い兄弟は男どもの話だったから同性として感情移入しやすいけど、アンは女性なのにどうしてここまで感情移入できるんだろう。モンゴメリー様凄すぎです!
マシュウー!!!!!
泣いた。
通勤電車で涙が鼻筋までつたいました…。
マスクも濡れました。
体が弱っていくマシュウ。
アンがいたわって「あたしが男の子だったら、今とても役に立つことができただろうに…」と言葉をかけると…。
「そうさな、わしには十二人の男の子よりもお前一人のほうがいいよ」とアンの手をさすった。
「いいかい?――十二人の男の子よりいいんだからね。そうさな、エイヴリーの奨学金をとったのは男の子じゃなくて、女の子ではなかったかな?女の子だったじゃないか―――わしの娘じゃないか―――わしのじまんの娘じゃないか」
マッシュのセリフのなかにある「――――」表現!
キーボードが…PC画面が歪む…。
書いていても涙が溢れてきます。
年食って涙もろくなったなぁ…。四十路超えると来ます。
アンがマシュウの言葉を胸に秘めて…もう書けないっす。章の最後の3行を見てくだされ。
マリラのロマンス
マシュウが天に召され、マリラがギルバートを見て回想します。
なんと!ギルバートの父であるジョン・ブライスとマリラはかつては恋仲であったご様子…。
てっきりずっと干物女だと思っていた…。
なんか悲しいなあ。。。
意地を張り過ぎちゃだめ。男も女も、マリラの経験を教訓にしてチャンスを掴んでいかないとだめなんだな。
「ならやっぱり、マリラだってロマンスがあったのね」
優しいアン。大好きです。
マリラがこんな話をアンにするなんて、アンを愛し信じ切っている様子と「小さい頃と違って、寂しい」と言いつつも、なんだかんだアンの成長を認めてしまっている様子が描かれている良いシーンでした。
なんだかしんみりしてしまったので、これで一気に明るくなりましょう!!!
七人目のミイラさんから許可を頂きました!
ごっつぁんです!
アンとダイアナコンビ最高です!さらさらっと描けちゃうの、本当にすごいよなぁ…。
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