マロクールに到着!
ついに念願のマロクールですよ!
ロザリーと一緒に大きなかごを持ちながらてくてく歩いているうちに着いちゃいましたね^^;
マロクールには大きなお屋敷がドドン!と建っており、そこにヴュルフラン様(ペリーヌの祖父)にお住まいになっています。
ロザリーは屋敷について長々と解説をしてくれました。
ポイントは、
- ヴュルフラン様は一人で住んでおり、12人の召使いを雇っている
- 甥たちとは住みたくない
- ヴュルフラン様は日曜日以外は春夏秋冬働き続ける、熱い65歳であること。
都会ではないが、家々が密集しており、新旧様々な家々が連なっており、そこらじゅうに呑んだくれたちが屯している活気のある場所でした。
「お酒のみが多いのねぇ!」
ペリーヌは驚くばかり。
ロザリーによると、普段でもそこらじゅうで飲んだくれている人たちだけど、給与日の後の日曜日はさらに飲んだくれているそうです。
周囲の家々は、土の家か木造に粘土の荒壁。ドアと窓だけは小綺麗にペンキで塗りたくってある。遠くから見て、しっかりとした建物であるよう思い込ませるための工夫だそうです。
「ロミオの青い空」の時代から大体30年後の世界です。
フランスの地方都市、それも平民が住む場所はこんなものだったのでしょうね。
ロザリーの家
若い女性が戸口に現れた。
「早くしなさいったら、怠け者。ピキニ―へ行くだけで大仕事みたいな顔して。さんざん油を売っていたんだろ!」
ええ~…。
遠路はるばる重いかごを運んできた姪っ子に対する第一声がこれ?
彼女はゼノビー叔母さん。もしかして挿絵の女性かな?お年頃で綺麗な感じのする女性ですが…?
それにしても、この物語には口の悪いやつ、性格の悪いやつばかりが登場しますな^^;
話しかけただけでキレる奴や、ペテンにかけようとする者、詐欺師扱いする者、お前にやる仕事はねえ!と悪態をついて警察を呼ぶと大声を上げる農婦…。
作者エクトール・マロの世界観は油断がならねえ!
さて。
フランソワーズかあさん(ロザリーのおばあさん。ロザリーはおかあさんと呼んでいる)はとても良い人なんですけどね。ゼノビー叔母さんだけが常に悪態ばかりついていて、ロザリーにもきつく当たってくるんです。
ロザリーの紹介もあり、工員たちが住むタコ部屋を、28スーで借りられることになりました。
ペリーヌの父のエドモンの乳母であったフランソワーズ母さんは、乳母時代に稼いだお金で家を建てたそうです。乳母役に対しては、相当気前が良かったのかもしれません。
「ここはフランソワーズ母さんが乳母時代に建てて。あそこは住心地悪いけど、工員は金持ちみたいな家には住めないもの。そうでしょ?」
と、ロザリー。
まあ、そうだけど、言い方って物があると思うんだがねえ。貧しい奴らはあばら家に住んで当然だ的な^^;
ロザリーはペリーヌに食事を与えたり、別け隔てなくフレンドリーな子なんだけど、ちょっと抜けているところがあるというか、ストレートに物を言うタイプですね。
バンディさんという、英語を解する御仁も登場。
彼は英語とフランス語を翻訳する重要な任務を追っているのですが、他の業務にも忙しく出張も多い。肝心な時に居ないことが多いです。
ヴュルフラン様登場
そうこうしているうちに馬車が到着!
誰が乗っているんだ?
「ヴュルフラン様よ」
ついに!ペリーヌがずっと会いたがっていたお祖父様が!目前に!
感動の再会か?
- 白髪
- 青白い顔
- 頬に血管の筋が赤く見える。
- 麦わら帽子を被ってじっと動かない。
- 背は高い。
結構厳つい感じのお祖父様ではないですか?
ロザリーはすぐにヴュルフラン氏に近づいていった。
ヴュルフラン氏は、フランソワーズ母さんの弟オメールさんがダンスホールを使って集会をするのに反対しておりました。
- ごろつきどもの集会場にしたくない。
- 集会の約束を取り消させろ。
- さもなければ、あの家から追い出す。
マロクールの住民は、アンジュー地方やアルトワ地方から来た流れ者じゃないんだから、集会によって悪い影響を与えたくない。というのが理由です。
中止だ。
「これがわしの意志だ。」
問答無用のやり取り。
同じ世界名作劇場の「小公子セディ」にも厳つい伯爵がおりましたが、それに勝るとも劣らない高圧的な態度。
これは厄介だぞ…。
「集会を開かせたくない…これがわしの意志だ。」
こんな調子で話すのを聞いたことがないペリーヌは驚きました。
ただ、これだけ強固な意志を持つ人であるのに、体の動きはどこかおぼつかず、ためらうようなところがあるのに違和感を覚えました。
ロザリーに聞くと、ヴュルフラン氏は目が見えないとのこと。
遠路はるばる、命がけでマロクールに到着したのに…会いたがっていたお祖父様は盲目。
それではどうやって孫である自分の姿をお見せすれば良いのか…。絶句しますよね。
ロザリーから目が見えなくなった経緯について説明がありました。
- 肺炎をきっかけにほとんど目が見えなくなってしまった。
- 社長の体調悪化につけこみ、後継者候補らが暗躍しかけた。
- でも、目が見える状態と変わらず業務をこなしたので後継者問題には至らなかった。
- 後継者とはヴュルフラン氏の甥二人と工場長のタルエルという男。
ロザリーはついさっきあったばかりの女の子にベラベラとよく喋るな(笑)。
口が軽いのはあれだけど、優しくて気が良いので、こんな娘は好きです。
ロザリーは先程ヴュルフラン様から10スー銀貨をもらったから上機嫌だったのでしょう。
「ゼノビー叔母さんに知られないようにしなくちゃ。あの人、貯金しといてやるといって、すぐとりあげるんだから。」
ひでえ^^;
ヴュルフラン氏と分かれた後、ペリーヌとちょっとだべっただけで、
「ロザリー、何をグズグズしているの、しょうがない間抜け者!」
「今、食べ終わったところよ」
「はやくお客さんにお給仕しなさい!」
怠け者って言葉もよくないけど、いきなり間抜け呼ばわりとは。どぎついなぁ。ゼノビー叔母さん独身なのかな?この性格だとちょっと結婚は難しそうですな…。
ロザリーは工場での勤務もしているのに、帰宅したらお給仕の仕事や雑用までやっているのか…彼女も彼女で苦労しているようですね。
13歳でダブルワークはキツすぎる。
フランソワーズかあさんはお金持ちなんだから、ロザリーを学業に専念させて上げればいいのに。家賃収入と乳母時代に稼いだ資産もあるのに…それとも、ロザリーはあまり勉強好きではないのかな?
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