ペリーヌ物語の原作「家なき娘」 開幕からピンチ!

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世界名作劇場ファンの多くが推している「ペリーヌ物語」を、私はまだ一話も視たことがありません。ポリアンナを視終えてから…と思っていたら放送終了。とても残念なので、図書館を漁ったところ原作本を発見しました。アニメを全く知らずに原作を読むのも良いものです。

まだペリーヌ物語の原作「家なき娘」の上巻半分も読んでいませんが、開幕から重いですね…。

  • 修羅の街「パリ」へ入市
  • 母親が重病
  • 金もない
  • とてつもなくひもじい

ペリーヌはまだ13歳。ティーンエイジャーになったばかりの女の子です。

そんな小さなペリーヌの身に次々と降りかかる不幸と悲惨な出来事。

ペリーヌはフランス人の父親とインド人の母親を持つ、ハーフの女の子。
金髪に褐色の肌。今の感覚で言えば、超美人さんです。ただ、当時はアジア人差別なんて当然でしたし、英国の植民地であるインド人とのハーフの子だと、白人では体験できない程の苦労や差別を経験したはずです。白人たちは、彼らを差別しているという意識なんてなかったでしょうし、蔑んで適当に扱うような存在であったはず。

今のところ人種差別的な描写はありませんが、ペリーヌをひと目見ただけで犯罪者扱いする輩も居たりするので、登場人物の心が捻じ曲がっているだけだと思われます。

目的は、フランス人の父方の祖父に会いに行くというもの。父母は祖父から勘当されている身であるため、会いに行ってもペリーヌが受け入れてもらえるとは限りません。

「小公子セディ」の場合は、祖父側から乞われてイギリスに向かいましたが、ペリーヌの場合はその逆。会いに行ったところで「金目当てだろう!」とか「あんな男の娘など知らぬわ!」などと言われる可能性だってあります。

時代背景は1800年代後半。アニメのペリーヌ放送当時は1978年。アニメの中で「今から100年前」と言っていたので、1880年前後でしょうね。

まだまだこの頃のフランスの…特に貧民街なんて、江戸時代ほど糞尿処理のインフラが整っていなさそうだな…と思っていたらやっぱり。

Googleで「浅く薄く」検索したところ、参考になる記事がありました。

1885年パリ市当局の代表者の一人であるブールヌヴィル医師は、セーヌの汚染状況について次のように報告しています。

「セーヌ河は右岸沿いでは正真正銘の蓋なしの下水である。水は濁り、色がつき、油ぎった泡におおわれている。酸素は腐敗進行中の有機物にほとんど完全に吸収されて存在しない。夏期には常時起こる発酵のために川の水は泡立ち、底の汚物が表面に浮かび上がり、時に直径1メートルにも達する巨大な泡となって沼沢性ガスが発生する。河岸には黒ずんだおりがべっとりついている。幹線渠の開口部では砂や他の重い物質が黒く悪臭を持つ巨大な泥層を成し、その厚さは0.65メートルから3メートルまでになり、これらの開口部からマルリーまで延びている」

https://paris-rama.com/paris_history_culture/029.htm

夢にまで見たパリに着いたのですが、ペリーヌは…

まあ!なんということ!このむさくるしい家々、倉庫、汚らしい中庭、ゴミの山だらけの空き地、これがパリだとは。お父様から、あんなに度々話を聞いて、ずっと前から夢見ていたパリ…(略)

「家なき子レミ」のルールシーヌ通りとは比べ物にならないほど酷い。

なんとかパリに入市し、ギヨ園で人心地ついたペリーヌでしたが、母の体調は悪くなる一方。
お米を炊いても母親は食欲がない、吐き気がすると言って全く口にしない。

薬を買うにも金が無い。

13歳のペリーヌですが、頭の回転はものすごく早い。
冷静な女の子で、今何が大切か、そのためにどうするか。お金の算段をするなどとても現実的です。経営者感覚がありそうな女の子なので、今まで見た世界名作劇場の原作に登場したヒロインとはちょっと雰囲気が違います。

パリカールとの明るい未来、一日中笑って過ごせる日々を想像することすら許されない、まさに緊迫した状況…。

結局、箱馬車や写真撮影機材、その他僅かな家財道具を売ろうとしたのですが、なんとたったの15フラン。

「15フラン!?」

驚き、聞き返すペリーヌでしたが…

写真機や箱馬車、僅かな家財道具も散々買い叩かれて、二束三文で「塩から」と呼ばれる男に売る羽目になりました。よそ者から搾り取る。

パリに入る前の「入国審査」の行列でも、なんとなくきな臭さを感じたのですが、やっぱりよそ者には容赦ありません。

高価買取を謳っていたはずなのに…やり方がハードオフグループ。

そのお金で母親の病気を診てもらい、薬を買っているうちに、お金も尽きてしまいます。

箱馬車を売ってしまったため、仮住まいに暮らしますが、そこは悪臭立ち込めるバラック小屋。これで1日8スーの家賃。物語を読み勧めているうちに、1スーは今の貨幣価値に換算すると、100円前後なのではという気がしてきました。800円×30日として24,000円。首都パリの下町のボロ長屋だったら、それなり…なのか?いや、絶対騙されている気がする。

母親の容態も好転せず、切羽詰まったペリーヌは長い間苦楽を共にしてきたロバを売ろうとします。頭の良いロバは自分が売られることを察知したのか、市場の前で座り込んでしまいます。

「しっぽに火をつけてやれ!」
「売るにはすごい宣伝になるぞ」
「どーんとたたいてやれ」

こいつら…世紀末のモヒカンと同じ匂いがしやがる!

結局30フランで売ることになったのですが…当然今のペリーヌたちにとっては焼け石に水。

ロバを購入したのは「ルクリ」。男装した女性なのか、はたまた本当に男性なのかわからない人です。

ペリーヌはせめてお母さんの病気だけでも…とロバを泣く泣く売り、医者に何度も診察してもらい、薬も買い続けました。

ぜんっぜん良くなりません!

訳の分からない水薬みたいなのしか処方しないし。カロナールみたいな解熱剤とブドウ糖液的なやつも処方してくれよ。

ペリーヌは懸命にお母さんを看病。治れば良いんだけどな…。

え?

結局お母さんは天に召されてしまい、ペリーヌは一人で目的地のマロクールを目指すことになります。所持金は5フランと1スー。

長い旅路です。お金がそもそも足りるかもわかりません。

当面の食料が必要なので、ペリーヌはパン屋へ向かいます。「小公女セーラ」の親切なパン屋さんを思い出し、ここまでコテンパンにやられたあとですから、きっと良い人では?と期待しました。

ペリーヌを泥棒扱いして、偽物の銀貨だと難癖をつけパンを売らないどころか、5フランをかっさらったパン屋のババア。

「パンをくださらないなら、せめてわたしのお金は返してください!」

「またどこかで使う気なんだろ?これはあたしが取っとくよ。ほしけりゃお巡りさんをよんでおいで。いっしょに調べようじゃないか。いまのうちにさっさとでてけ、泥棒め!」

おまえのようなパン屋がいるか!!

野次馬共も集まってきた!

「なんだろうね?」
「あの女の子が、おかみさんの引き出しをこじあけようとしたんだ」
「見るからに、いかがわしい子だな」

名劇やジブリ作品で「パン屋」と言ったら、優しい女将や物静かな大将を思い浮かべます。

「小公女」では、セーラがパン屋の前に落ちていた銀貨を拾い、そのことを女将に告げたら「それを拾ったのはあなたなんだから、あなたのものよ」と言い、銀貨1枚でパン4つだったところを、2つサービスして6つにしてくれるほどの親切ぶりでした。

おまけに、パン屋の入り口に屯していた浮浪少女を従業員として雇用してくれました。だから、絶対に親切なパン屋であると…確信していたのに。大変なショックです。

修羅の住む街パリ。

外道と修羅しかいないのか…。

ガスパールクラスが大量に…。

ペリーヌがパリから出る間際、こんな描写がありました。

ペリーヌが恐れるのは、野原の寂しさでも、夜のしじまでも、影の不気味さでもなく、パリだった。パリの家々、パリの群衆、パリの光だった。

うん…本当にそう思う。
読んでいて、この街と住民は本当におかしいと思いました。

辛えなあ…誰か良い人が助けに来てくれないものか…。

時代背景を考えると…子供の頃の病気がすっかり治って、初老になったアンジェレッタが、ペリーヌのボロボロの姿を見て、当時の「煙突掃除の子どもたち」を思い出して、ついつい救いの手を差し伸べてしまうとか。たまたまパリに遊びに来ていたミリガン婦人が、ペリーヌがあまりにも気品に満ちているので、ついつい話しかけてしまうとか。せめて、バイオリンで名を馳せ始めているマチアと遭遇とか…。

パリ市民の凶気と修羅。

ペリーヌが元気でもパリに留まり続けたら、間違いなく死ぬと思いました。

どぎついなあ…。

結局、1スーと母の形見を持って旅立つのですが、途中、命を削られるような嵐に見舞われ、飢餓と乾きに苦しむ姿が本当に可哀想で痛々しい…。

私は世界名作劇場やその原作でのシーンで、子どもたちが飢えに苦しむ姿や、子供を罰するために(というか虐待)飯抜きにされるのがたまらなく嫌なのです。小公女のセーラ、ベッキー、黒い兄弟のジョルジョやアルフレド他黒い兄弟の面々、家なき子レミ…。子供が飢えているシーンは辛い。

途中、1スーでパンを購入。
このパン屋は悪いやつではありませんでした。この時点で、パンを買うことがトラウマになりかけているペリーヌ。そりゃあそうだよ…。踏んだり蹴ったりだもの。

金額の割には大きめのパンを手に入れ、4回分の食事にしようと4等分にしたのですが、かつて経験したことのない飢えには勝てずに一気に平らげてしまいました。ここの描写がまた凄まじいんですよね…自分の食欲というか飢餓状態をコントロールできない自分を嫌悪したり、最後のパンを食べたときは自分に過ちや責任はないと割り切ったり…。とにかく辛い。

パンを食べるのにここまで葛藤した物語はそうそうないはず!

それでも歯を食いしばって、亡き父の言葉「最後まで戦う勇気のある者は救われる。」を信じて前進し続けた結果…ようやく人心地つける小屋に到着。カッチカチの白樺を噛じり少しでも飢えをしのごうとしたり、大雨で喉を潤し、体を身綺麗にしました。

開幕から今まで散々苦しい思いをしてきました。次の章では、ペリーヌの快進撃が始まるはずです。もう回復ターンが始まっても良い頃です。上巻の半ばに近づいて来ましたからね。

嘘でしょ…。

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