間違えてこの記事に漂着してしまった方、すみません。気分が悪くなるかもしれない二次創作、三次創作の妄想話です。名劇のイメージを変えたくない人ブラウザバックを!
でも、下の動画は見てください!
第一ラウンドはアンジェレッタが勝利をものにした。
しかし、ラウンド終了後に勢い余ってナナミを崖から突き落としてしまった…。
アンジェレッタコーナー側のSRS席に座っていたセーラ、ベッキー、ラビニアはアンジェレッタらのやり取りが多少耳に入っていた。セーラは1時間前に試合を終えたばかりだが、次戦の相手が決まる大事な闘いを間近で見ようと観戦していたのだった。
「そんなトレーニング方法があったなんて知らなかったわ。並大抵の想像力じゃない。あのアンジェレッタって娘…」
セーラは額から大粒の汗をかいていた。先程の洗い熊との闘いでもここまで汗をかいていなかった。
「セーラ、あなた汗でぐっちょりじゃないの!?どーしたの?」
「アンジェレッタさんのお話を聞いて驚いたの。もう一人の自分を生み出せる話は…私も聞いたことがるけど、おとぎ話の類だと思っていた。眼の前にいる娘ができるだなんて…信じられない。想像力だけなら、私なんて足元も及ばない」
「そんな…お嬢様が一番でございます!思い出してくださいまし、私達のメイド時代、お嬢様は屋根裏部屋で私とアーメンガードさん、ロッティを貴族様達が集まる大きな宮殿に招待してくだすったじゃありませんか。私は今でも覚えています。侍女のお洋服まで着させてくれたことも!」
「ベッキー、確かに想像力に関しては私やアン・シャーリーの名前が挙げられるけど、今はっきりわかったわ。アンジェレッタさんとの違いが。私達は生まれ持った想像力に加え、子供としては人生経験が豊富だった。私はインドで幼少期を過ごし、アン・シャーリーは里親に引き取られたり孤児院での生活経験もあった。だから、他人を自分の想像の世界に引き込むことができるほどの力を持てた。けれど、アンジェレッタさんはずっと病気で自宅からほとんど出たことがなかったのに、読書と想像力、見聞きしたことを分析し予言めいた予想すらことができる。そして、今、彼女は病気を克服し自由に動き回れるようになり見聞を広めている…現実社会での経験が混ぜ合わさり、生まれながらの想像力は更に精度を増しているのよ」
セーラとアンジェレッタが闘ったらどうなることか?ラビニアは想像することすらできなかったが、2人の試合を見たいと思った。セーラの言うとおりであれば、セーラが苦戦する様が見られるかもしれない。セーラに勝ってほしいと思っているが、彼女が苦しんでいる姿もまた見たい。ミンチン女学院時代、セーラを虐めていたことを思い出した。あの時のことを思い出すと不快な気分になるが、強敵と闘って苦悶の表情を浮かべるセーラを眺めるのも一興かもしれない…ラビニアはお腹の下あたりが熱くなるのを感じていた。セーラの冷や汗の匂いを嗅いで興奮しているのか?いや、違う。この熱さはセーラに意地悪をしていた時、極稀に感じたものだった。セーラが危険視しているアンジェレッタという娘ならあるいは…私の望みを叶えてくれるかもしれない。
一発殴ってからにしろっ!
「始めぇ!」
ナナミは大剣を構えたが、アンジェレッタは自然体のままだ。
「な、何なの?アンジェレッタ…?」
アンネットが不思議に思い叫ぶと、ナナミもまた眉をひそめた。
「どういうこと…?」
「ナナミさん。私に一撃御見舞してちょうだい。私はとんでもないことをした。第2ラウンドはそれからよ…」
「だから、気にすること無いって!このまま闘いましょう」
「いいえ、私の気がすまないの。崖に落とすなんて絶対にフェアじゃないわ…」
真っ直ぐに見つめてくるアンジェレッタに気圧されてしまったナナミは、セコンドにいる父に目をやった。父はうなずいた。ナナミはうなずき返した。
「わかったわよ…アンジェレッタ。あなたって見かけによらず強情なのね…」
「ふふ・・・時々言われるわ」
「ラグナブレード!!!」
!!
アンジェレッタの左肩に大剣が命中した。肩当てが吹っ飛んだ。激痛なんてものじゃない、腕が切り落とされたかと思ったほどだ。
「モントバーニ家のお嬢さん、なかなかの騎士道精神、見上げたものじゃ!頑張るんじゃ!アンジェレッタ!」
ドリンコート伯爵がSRS席から叫んだ。
「うううう…」
改心の一撃だったのだろう、これは自分に対するリスペクトであろうと思いながら、なんとか立ち上がった。すかさずナナミは飛び蹴りを繰り出し、打撃斬撃の連続技をねじ込む。
「アンジェレッタ!もう良いのよ!反撃してちょうだいよ!」
アニタの必死の叫び。原作の「黒い兄弟」を寝しなにアンネットに読んでもらっている彼女はすっかりアンジェレッタファンになっていた。私の恋を応援してくれた原作のヒロインっ!負けさせるわけにはいかない。自分も原作においては、ロミオの青い空に登場するビアンカよりもヒロイン的な活躍が多かったのを知り、ヒロインとしての自覚をより強く持つようになった。
アンジェレッタは反撃をするもすぐに切り返されてしまう…。
対するナナミはノーダメージ。
「万事休すか!?」
観客席から見守るダンテ、アントニオの面々。しかし、アンジェレッタは不屈の天使でもある。追い込まれてからの反撃が他の選手とは違うのだ。その反撃の激しさはダイヤモンドプリンセスセーラに匹敵する。
「大丈夫さ。ダンテ。アンジェレッタは必ず巻き返す」
まずはジャブのような一撃をナナミに入れた後、剣、槍で突破口を開き、次々と攻撃をあてていった。
『ぐう…これよ…アンジェレッタの怖いところは…連撃必倒の連携攻撃。しかも、こちらが完全に優位になったと思いこんだときに襲いかかる反撃のラッシュ…頭でわかっていても勢いは止められない』
ナナミはアンジェレッタの強さに改めて舌を巻いた。すでに自分も大きなダメージを負っている一気にいかなくては。
「こいつはどう!?」
強引にアンジェレッタを押し戻し、再び距離を詰めてきたところにヤケクソ気味の頭突き。これで勢いが削がれた。
『今よ!』
ピィィ~!!!
甲高い笛の音が会場に響き渡った。
「この笛の音がティコに届きますように!」
大剣を地面に突き立てた瞬間、周囲に衝撃波が広がった。アンジェレッタもたまらず吹き飛ばされ膝をついてしまった。
「来るぞ!アンジェレッタ!避けろ!」
アルフレドの叫び声は聞こえたが、もう動けなかった。
跳ね飛ばされた!アンの二の舞いだぁ~!
KO!!!
最終ラウンド
「ちょっとカッコつけすぎちゃったかもね…」
アンジェレッタは痛みを我慢しながら呟いた。最後のダメ押しのティコの一撃は強烈だった。全身に力が入らない。今まで受けたどの攻撃よりも重かった。
応急処置をした後、アルフレドにもたれかかった。
ナナミの攻撃はどれも重いが、開始早々のラグナブレード、終了間際のティコの一撃が重かった。アンがやられてしまったのも無理はない。
身を守ってくれていた防具も吹き飛んでしまった。
最終ラウンドはこのまま闘うしかない。
「始めぇ!」
ベア先生の野太い声が響く。
すぐに決着をつけてやらんと、アンジェレッタが先制のワンツーを決める!
「ぐ…」
ナナミはまさかの速攻に慌てはしたものの、そうはさせじと頭突きで応戦。
「堕っちろ堕っちろ堕っちろ!」
これはクリーンヒット!たまらず倒れ込むナナミ。アンジェレッタは止まらない!倒れているナナミに向かって鉄拳を叩きつけた!
ナナミも立ち上がり即反撃。右のボディーブロー、上段打ち、切り払い、背中への斬撃!どんどんHPが削られていく。
ファンネル!
ここで決定打を放ちたい!
ナナミを跳ね飛ばしたものの防がれた!
同時に距離を詰める両雄!
ナナミの右ストレート!姫のバトルアクスが交差する!
クロスカウンターだぁあああ!!
空中高く打ち上げられるナナミ。それでも、素手でこれだけのダメージを受けてしまうとは、やはり単純な腕力では、ナナミの方が一枚も二枚も上手だ!
起き上がったに、大剣一閃!アンジェレッタが追い込まれる。
しかし、闘気は死んでいない。左腕に青の闘気を、右腕に赤の闘気をまとっている。負けちゃいねえ!
姫の姿が金色に!
槍とラージシールドで攻撃に転じるも防がれ…
「ダイナストブレス!!!」
KO!
どちらだっ!?
この時は姫が勝ったかと思ったんだ…。
ナナミのダイナストブレスだったぁ!!
「勝者、ナナミ・シンプソン!!!」
終わった…。
アンジェレッタは大の字になって空を見上げた。体は痛むけれども心地良い。全力を出し切ったからだろう。まさか病弱だった自分がブロック予選の決勝まで勝ち残れるとはおもわなかった。負けたけれど…自分の病気を完全に克服し、一回り成長できた気がする。
「アンジェレッタ…」
ナナミが右手を差し伸べている。アンジェレッタはその手を取り立ち上がった。
「完敗だったわ。ナナミさん」
「あなたとっても強かったわ。勝てたのは運よ」
二人は抱き合い、健闘を称え合った。ナナミはアンジェレッタの腕を取り、高らかに上げた。
一瞬驚いたが、アンジェレッタも笑顔を浮かべて素直に応じた。
会場からは満場の拍手喝采。
「アンジェレッタ!」
「ナナミ!」
第一ラウンド終了後に喧嘩をしていた双方のファンたちも涙を流しながら叫んでいる。
今度はアンジェレッタがナナミの腕を取り高らかに上げた。
「頑張ってね。ナナミさん。次はセーラさんよ。最強と言われる彼女だけど…あなたなら勝てるはずよ!」
「任せておいて!アンジェレッタやアン先輩の分まで頑張ってくる!」
アルフレドも…イザベラ様もチェルビオも涙を流していた。
SRS席のドリンコート伯爵もアニタも、アンネットも号泣していた。
アルフレド達セコンドたちはアンジェレッタとともにナナミの陣営と挨拶を交わした。
惜しみない拍手。モニター越しに総裁も拍手をしていた。
安堵
「ふう…」
控室にもどったセーラは安堵のため息をついた。アーメンガードがお茶を沸かしていた。
準決勝の相手はナナミに決定した。
「良かったですね。お嬢様、次のお相手がナナミさんで…」
「何を言っているのよ、ベッキー。あのパワーは驚異的よ!厄介な相手ね…」
パワー系の相手にトラウマを抱えるラビニアは、ナナミを危険な相手だと判断していた。
「私はむしろナナミさんのようなタイプの方が与し易いわ。正直、もしもアンジェレッタさんが勝ち上がってきたら面倒なことになるなと思っていたところよ」
「お嬢様は攻守ともに素晴らしいのですが、猪突猛進型やパワー系の相手をいなしながら闘うのが最も得意なのですよ。ネロさんのようなバランス型との相性も良いですね」
「わぁ!」
ラビニアが突如大きな声を上げた。セーラが不意にラビニアの脇腹を掴んだのだ。
「ちょっ…何するのよ?!急に!」
「そうよ。私はパワー系のタイプが得意だわ。まっすぐ向かってきてくれる相手はありがたいのよ。ラビニアみたいにね」
『何よ…この娘いきなり…』
与し易い相手扱いされたが、セーラにちょっかいを出されたことに気分を良くしていたラビニアだった。
『そんな…セーラからラビニアにちょっかいを出すなんて…私には一度も…』
アーメンガードは楽しそうにじゃれ合っている2人を見ていると、先日のように体が熱くなってきた。どうかしてしまったのだろうか。
「明日からナナミさんを想定したトレーニングをしましょう。ベッキー、それにラビニアお願いね」
「はい、お嬢様」
「ふっ…怪我しないように気をつけるのよ」
つべこべ言わずに動画をご覧あれ!
コメント