世界名作劇場最大トーナメント Cブロック決勝 ベスVSラッシー

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二次創作が嫌いな方は記事を読まないように。場合によってはものすごく気分が悪くなると思いますから。

ただし、動画はしっかり御覧ください。

エリザベス・マーチ

若草物語のベスことエリザベス・マーチは、一般客用のレストランで食事を摂っていた。本来、選手は選手用のレストランで食事をするものだが、まだトーナメントは続いているし、選手であるジョオやナン、これから対戦するかもしれないデーズィなどと顔を合わせるのが気まずいからだ。
『それに…一般客用の方が安くて量を多く食べられる。質より量っていうじゃない』
このレストランには6種類のハンバーグがある。チーズハンバーグ、トマトソースかけのハンバーグ、シチューハンバーグなどなど全種類がベスの座っているテーブルに並んでいた。

「美味しいぃ~!!」

思わずつぶやいてしまった。元々食は細い方だったし、疎開先で贅沢することはほとんどなかった。彼氏でもいたらもっと楽しいのでしょうけど…一人でガツガツ食べるだけで幸せいっぱいだ。試合は3日後だし、少々食べすぎても問題なし。
ハンバーグ、サラダに合うのはパンであったが、ここは「お米」が美味しいようなので、味見をしようと丼一杯頼んでみた。

「美味ね」

しかし、パンよりも腹に残る。お腹に残るのなら、ハンバーグを残したい。ハンバーグとハンバーグの間にパンを挟んだ方がいいな…などと考えていたときだった。

「ベス!?」

ベスが視線をそちらに向けると、司会のベア先生がいた。ベア先生のとなりの女性が声をかけたのだろう。女性はベスを見るなりいきなり抱きついた。

「ああ…ベス!すぐにわかったわ!」

抱きついたまま、ベスの頭や頬にキスをした。

「ベアさんってことは…ジョオ?」
「私よ!ジョオよ!」
「ジョオ!?」

髪型も、それから体型もちょっと違うが、街がなく姉の「ジョオ」だった。よく見るとジョーは涙ぐんでいた。そう、ベスは「若草物語ナンとジョー先生」には登場していない。「愛の若草物語」と「ナンジョー」の間に病死していた。
元気だった頃のベスに会えたのは奇跡と言って良い。世界名作劇場の作品の壁を超えた出会いに感動し、ジョーは泣き崩れていた。

「元気だった…?って元気よね、ついこの前うちのナンをやっつけちゃったんだから」

ジョーは涙を流しながら笑みを浮かべていた。
ナンは「ナンとジョー先生」のヒロインだった。なんだかんだ説教しながら滅多打ちにしてしまったことを思い出し気まずくなった。

「ナンは…ジョオの一番お気に入りの生徒だったさんらしいわね…」

「いいのよ。強い娘なんだから、負けることも勉強のうちよ。あ!メグ!メグ!こっちにいらっしゃいよ!」

メグだ!ひと目でわかった!あの頃よりもずっと大人っぽく綺麗になっている。なんというか…気品が増していた。自分が見ることができなかった、姉2人の成長した姿を見たベスも涙が込み上げてきた。もう一度3人で抱き合う。身長も感触も昔と違ったが、ぬくもりは変わっていなかった。

「メグもジョオもすっかり大人になって…とっても綺麗ね」

3人共涙が止まらない。劇中と言っても原作でだが、自分が亡くなったことでどれだけ姉妹を悲しませてしまったことか…。トーナメントの期間中だけでも、自分も生きていれば一緒に過ごせたはずの人たちと過ごしたかった。

「エイミーは?」

ベスがメグにたずねた。

「エイミーは今デーズィにお話があるって言って出ていったわ。呼んできましょうか?」

「いいえ。試合が終わってからで良いわ」

デーズィとは準決勝であたるかもしれないのだ。肉親、それもメグの愛娘だ。試合前に顔を合わせてしまっては、お互い本気で闘えないだろう。メグとブルックさんだけの娘だけあって、本当に美しい。

「メグにそっくりでとっても綺麗よ」

ベスにとって可愛い姪っ子だ。赤ん坊だったデーズィとデミのことははっきり覚えている。
ベス、ジョー、メグ、ベア先生の4人はしばらく歓談した。

エリザベス・マーチVS名犬ラッシー

「青コーナーより、ラッシー選手の入場です!
一体どれだけの美少女を喰い物にすれば気が済むのかっ!?純情な女の子を転がすスケコマシなどではない、文字通り喰らい尽くしている!今回もカトリを倒したBEASTハリケーンが見られるかっ!?血まみれの名犬とは俺のこと、名犬ラッシーだぁ!」

「病弱だった彼女がブロック決勝まで勝ち残るとは思わなかった。ケダモノによるこれ以上の美少女蹂躙は許さない!STOP THE BEAST!!
名門マーチ家の若草闘魂四姉妹が誇るゲティスバーグの最終兵器!剣術のみならず、父親から習った忍術、格闘術をミックスさせ独自の兵法を身につけた!侍でもない、忍者でもない、様々な武術を身に着けたものだけが到達できる我流の極地NEO・サムライ、エリザベス・マーチ!

ラッシーは吠え続ける。
「あたし、あなたが何を言っているのかわからないわ。いやよ!こんな化け物と闘うなんて!」

FIGHT!!

「ゴングと同時にベスのハイキックだぁ!」

更に双刃刀による6連撃!ベスの気合は十二分だ!

「今のはカトリの恨み」

!!!?

表情からは読み取れないが、ラッシーは怯えていた。攻撃にうつれなかった、切り返せなかった。

『確かに名劇の美少女達を蹂躙してきた…それは別に…憎いからではない。眼の前の敵を倒したいから倒してきた。人間ごときが獣の俺に敵うはずはないと思っていた…けれど、この人間は…俺よりも…強い?』

ベスは刃先をラッシーの眼の前にかざした。すると、ラッシーはビクッと背筋を伸ばした。

「強い恐怖心だ…哺乳類はみんな痛がり屋ね」

そのセリフを聞いたときには、すでに双刃刀が胸に刺さっていた。極厚の胸板だ。鋭い痛みだが、内蔵には達していない。

「今のはジェーンさんの分」

『っっっ~~~~~!!!』

「ふんっ!!」

肉襦袢ラッシーを上空へと投げ飛ばしたぁ!!!
ラッシーにさらなる一撃を浴びせるため、ベスも舞い上がった。空中で一回転して旋風斬りを浴びせた。

「ギャン!」

空中で斬られ、地面に叩きつけられた。
ラッシーはたまらず悲鳴を上げた。

「今のは…ペリーヌさんの分!!!」

「ペリーヌはラスカルの仕業だろぉ!!」

ラッシーの飼い主ジョンが叫んだ。ジョンはラッシーを叱咤激励、いや、ひたすら叱咤した。なんでも良いから早く攻撃しろと。

女が自分を見下ろしているのに気づいた。
慌てて立ち上がりすぐに防御態勢をとった。
女の攻撃は続いた。うまい。回り込んで攻撃を仕掛けてくる。野生の本能に従うのであれば、間違いなく「逃げる」を選択していたはずだ。しかし、飼い主のジョンがこの闘いに参加しろと言っている。どんなに相手が怖くても、自分より強くても、飼い主を守るために戦わなければならないのだ。それが野生の犬と飼い犬との違い。

フランダースの犬のパトラッシュ見よ。
家なき子レミのカピを、ゼルビーノを、ドルチェを見よ!ゼルビーノ、ドルチェは主人たちを守るために狼と闘って死んだのだ。

俺が…こんな人間の女に負けてはならないのだ!

「ラッシー選手!猛攻です!足払いからの爪攻撃でリズムを掴んだ!再び強烈な一撃が決まった!」

「ふうん…怯えてばかりじゃないのね。窮鼠猫を噛むって言葉があるくらいだからね。油断しちゃ駄目ねぇ」

ラッシーの渾身の一撃、体を軸にして扇風機のような刃を浴びせるつもりだったのだろうが、かわされてしまった。一瞬背中を向けてしまったのを、ベスは見逃さなかった。振り向きざまの一文字突きが炸裂!

自分は名犬だ…名劇一の!カトリをKOしたブリッジをしてにじり寄る必殺の技を決めなければ。焦ったラッシーは間合いも考えずにブリッジしてしまった。

「若草物語の仲間たちはあまりにも多くの血を流した…。『ナンジョー』のヒロインであるナンも…一回戦で散ってしまった!」

言うやいなや、双刃刀をラッシーの腹部に叩きつけた。さすがに硬い。だが、十分な手応を感じた。

「最後に…これが…ナンを失った私の悲しみ…!」

「ナンはおめえがっ…!!」

ジョンが即座に言い返したが、ベスの迫力に圧倒され、隣りにいるプリシラがようやく聞き取れる程の小声であった。

ラッシーが立ち上がりかけた時、背中に思い切り斬撃を受けた。これが勝負の決め手となった。

「すごおおおおおぃいい!!!」

SRS席に居たカトリが叫び声を上げた。

「なんと!カトリ選手です!一回戦で重傷を負って入院しておりましたが、退院してすっかり元気のご様子です!それと、ベス選手の底力、ラッシーに敗れた者たちに対する思いをしっかり受け止めていたぁ!感動です!」

解説の「私のあしながおじさん」のボブが叫んだ。

KO!!!

第一ラウンドは、ベスが見事な勝利を飾った。

「ふう~…別にラッシーに恨みもないし、ラッシーに負けた娘たちのことを思っていたわけではないけど…こういうシチュエーションって盛り上がるわよね?お父様」

「あ、ああ…」

セコンドにいるフレデリックはなんとも返答のしようがない。

「それよりもどうなんじゃ?ベス。あのラッシーとかいう犬の強さは?」

ローレンス翁が問う。

「う~ん…下馬評ほど強くはないのよね…本気を出していないのかしら?」

「そうね…動物だから強さを出し惜しみするとは思えないし。ベス、試合開始直後に刀をラッシーちゃんに突きつけたでしょ?その時点で怯えていましたわよ」

ふふふ…といつもの笑顔で母メアリーは応えた。

「ラッシー大丈夫か!?いや、大丈夫なはずだっ!」
ジョンは混乱していた。1,2回戦を圧倒的なパワーで勝利してきたのに、ベスと闘いではこのザマだ。優勝候補の一角カトリを完封、剣豪と言われるジェーンにも勝利してきたため、たかが病弱の小娘などあっさり勝てると思っていた。ラッシーなら第一ラウンドを先取し、ベスは泣きを入れてくるかと思っていたのに…。

「全然違うじゃないかっ!」

主人のジョンが泣いている…自分が不甲斐ないせいだ。
逃げたい。ベスという人間の女は強すぎる。ラスカルは人間の女のセーラに負けた。彼女はたしかに強いが、相手を包み込む優しさを持っていた。
しかし、ベスは「恨み」と言っていた。自分が恨みを買う理由は一切ないのだが…。恨み云々はさておき、彼女とは闘いたくない。勝敗は目に見えている。

「傷の手当をしてあげましょうね」

プリシラが笑顔で微笑んだ。甲斐甲斐しく傷の手当をしてくれる。対するジョンは…険しい表情で自分を見ている。しばらく目をつむることにした。

「さあ、ラッシー。できたわよ」

プリシラが手当を終えた。もう試合はしたくない。

「ラッシー!!」

ジョンの声にビクッとして跳ね起きた。

「行くんだ」

ラッシーはジョンを見た。無表情だが、目は怯えていた。ベスの迫力に飲まれて、ろくに言い返しもできなかった。

第二ラウンド

FIGHT!!

「お前なんか死んじゃえ!」

ゴングの音がなったけれども、ラッシーは自分から動けなかった。ベスはすぐに攻撃を仕掛けてきた。まるで藁人形を斬り刻むようにあっさりとラッシーに太刀を浴びせていく。一気にHPの半分以上を削られてしまった。

『このままでは負ける』

野生の世界において敗北は死を意味する。
犬ではないが、群れから追い出された者は長く生きられない。

『いまだ!』

「ラッシーの狂気の爪がベスを襲う!何発も!!」

「うわあああ!ベスぅぅ~~~!!!」

ベスのプロマイド写真を握りしめた…なけなしの金を払ってRS席で観戦しているダンテは泣きながら応援していた。

「カトリを倒したこの技を受けてみろぉ!」

ジョンは攻勢に転じた途端、一気に強気になった。半分諦めていたが、今は目をランランと輝かせて応援している。

「ふっ…面白いじゃないの…私にトドメをさせるかしら?」

強がりを言っては見たものの、ベスは少々不安であった。だが、自分を追い込むためには…もっと強くなるためには…この技を耐えて見せる。

ギィインンン!!鈍い金属音がこだまし、ベスは地面に叩きつけられた。

「ゴッドフィンガー!!!ひゃっはー!!直撃だぁ!」

勝負有り。誰もがそう思った。すでにジョンなどは勝利の舞を舞っていた。爪が扇風機のように旋回し、小娘の体はずたずたになったはず。更に打ち上げられてのトドメの一撃。

ベスはなんとか立ち上がった。

「さすがに効いたわ…。双刃刀がなかったら、まともに食らっていた…」

全てではないが、回転する爪を双刃刀で防いでいた。ラッシーの攻撃を半分以上防いでいたのだった。

『とっておきの一撃だったのに…』

「私…闘う!」

ベスのアップシーン!サービスショット!

HPも回復!気を高めて傷口を塞いでいく。これはベスにしかできない芸当だ。こんな人間は見たことがない。ラッシーは戦慄した。

「あんたって犬は…」

ざむ!ざむ!

今度はベスの反撃だ。猪口才なとばかりに次々と攻撃を当てていく。ラッシーになすすべなし!

ラッシーを打ち上げてからの…一太刀!!

ラッシーのHPがゼロに!

勝負有り!

が、ベスの動きは止まらない!これは一連の動き、止められないんだぁ!
強力な斬撃が更に2発直撃。オーバーキル!

「勝者、エリザベス・マーチ!」

闘っていた時とはまるで別人のように穏やかな表情になっている。ラッシーを助け起こそうと近寄ったが、ラッシーはビクッと背筋を硬直させてからすぐにジョンの元へ逃げ帰った。ベスの底しれぬ強さに尻尾を巻いて逃げ出した。

「ベスちゃぁぁぁん!!最高だぁ!星屑のような笑顔、次の試合でも見せてくれ!ベスちゃんが優勝だぁぁ!!」

ダンテは叫ぶやいなやその場で失神した。

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