世界名作劇場のキャラクターの三次創作、四次創作の妄想話です。苦手な方は即ブラウザバックを!
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アンネット出逢う
A、Bブロックのトーナメント開催3日前、アンネットも会場入りしていた。今回は、選手たちの宿泊するホテルが指定されており、浮いた宿泊費をちょろまかすことはできなかった。「大日本アニメ(以下大日)」の招聘時は、1泊10,000円の補助が出たので、ドミトリーホテルに泊まって宿泊費を削った。
5つ星ホテルだ。スタンダードシングルルームなどではなく、エグゼクティブルームだ。ベッドもキングサイズでとても大きくてふわふわだった。さすが、ミーラ財閥といったところだろう。こんな大きくてふかふかのベッドだったら、家族皆でも眠れる。
食事も朝食、夕食付きだ。ただ、昼食は自己負担となる。
大会2日前、アンネットは会場の視察に来ていた。レストランは、選手専用の店が1軒、観客・一般用の店が4軒あった。選手専用レストランは、あまりにも高すぎた。料理もすべて高級志向。ただ単に高級なだけでなく、選手の健康面も考えたメニューも揃えてある。アンネットは恐る恐る選手専用の店舗を覗いてみた。
「セーラ、レミ、ジュディ、ペリーヌ、ピーターパン…ザビニアだかラザニアだかもいるわ」
脇役でもお金持ちなら、この店で食事ができるのだ。アンネットはお金を節約するため、朝夕だけの二食にしようと決めていた。だから、今朝は朝食を「どか食い」した。回りの客がドン引きしていたほど、これでもかとお腹に詰め込んだ。しかし、12時になれば、朝食はどこへやら。腹の虫が鳴っていた。成長期なのだ。食べても食べても足りない。
『やっぱり1日二食はきついわね…一般のレストランに行ってみましょう』
ラーメン、そば、カレー…?あまり食べ慣れないものは口にするのはよそう。セコンドも家族も連れてきていない、孤軍奮闘のトーナメント戦になるのだから、体調管理も自分でしっかりやらないと。
ポレンタ3切れ250円。これが一番安い。これにしよう。
「あの、お飲みものは?」
「み、水を…」
「お水…ですね。セルフになっております。他にご注文は?」
「他にって?」
「料理です。料理のご注文は?」
ポレンタは料理じゃないのか?料理じゃないかもしれないけど…食べ物だ!
「これで結構です」
アンネットはとぼとぼと席に向かい、ポレンタを噛みしめ、ゆっくりと食事をしていた。
「臭えぇ!貧乏臭え!」
背後から男の子が誰かを茶化すような、品のない声が聞こえた。
「ポレンタしか食ってねえぞ、こいつ!」
どうやら、私のことを言っているようだ。笑わば笑え。ポレンタを笑うものはポレンタに泣くというではないか。
「あ、こいつ…ポスターで見たぜ!『破壊神アンネット』だ!」
「まじかよ!トーナメント選手が、なんでこんな貧乏食食ってんだよw」
3人か。こんなガラの悪い連中は、自分の故郷にはいない。食べ物を笑ったり、貧乏人を嘲るだなんて。この3人を黙らせるのは簡単だけれど、試合前のゴタゴタはご法度だ。
「おい、ジョバンニ、あの3人…?」
「ああ、サソリ団のようだな」
ジョバンニとタキオーニは、ちょうど昼食を終えたところだった。
「アイツら…俺がちょっと焼きを入れてやるか…」
「やめろ、タキオーニ、その必要はなさそうだ。見てみろ」
タキオ―二を制止したジョバンニの視線の先には、赤毛の少女が、サソリ団の男の子の腕をひねり上げているところだった。
「私も同じものを注文するわ…ポレンタ3枚頂戴」
近くにいたウエイトレスに言いつけた。ウエイトレスは注文を聞いてすぐに厨房へと引っ込んだ。
「てめえ!」
もう一人が殴りかかったが、赤毛の少女はみぞおちに前蹴りを叩き込み、壁まで蹴り飛ばした。手首の関節を極められていた男は、すでに投げ飛ばされ床に這いつくばっていた。
「うわぁ!あ、あんた…アニタだな!」
「女の子をいじめるんじゃないよ…クズが!」
3人はほうほうの体で去っていった。
『この娘…強いっ!!もしかして、トーナメント出場者!?』
アニタと呼ばれた少女は、アンネットの隣に座った。
「どうもありが…」
アンネットがお礼を言おうとしたら、すぐに遮られた。
「アンネット先輩よね!私、あんたのファンなの!」
まるで、アルプスの少女のようないでだちだ。でも、アンネットには見覚えがなかった。どの作品の主人公だろうか?
いや、そんなことより。私のファンだと言ってくれた!そりゃあ、ファンはいるだろうけど、先輩なんて言われたの始めてだ。同じ名劇のキャラクターから「ファン」だと言われるなんて光栄なことだ。アンネットは、主役を張りつつも昨今の不人気ぶり、アニメ会社での不遇を思い出した。寂しさ、悔しさ、不満、貧しさ…。気づくと、ひとしずくの涙が頬を伝っていた。
「アンネット先輩、どうしたの?(泣いてる…けど、とてもかわいい!これが真正ヒロインの涙…)」
アニタは肉料理を3品、野菜料理を2品と飲み物を注文した。
アンネットは語った。自分の登場作品に人気がなく、大日から干されかけ、忘れられかけていること。ファンも少なくなっていると実感し始めていたこと。昨年の「大日」での打ち合わせ。実家が、故郷全体が貧しくなっていること…。
「辛かったのぉ!寂しかったのぉ!」
アンネットはテーブルに突っ伏して泣いてしまった。アニタはアンネットの肩、背中をさすり慰めた。作品の主人公であるにも関わらず、ヒロインの寂しさ、放送終了後も様々な苦労や悩みを抱いてきたことを知り、アニタは驚いた。
アンネットは親にもルシエンにも学校の先生にも、自分の抱えている悩みを打ち明けて来なかった。打ち明けたところでどうなるわけでもない。でも、誰かに話したかった。
「あんたって、とても話しやすいのね。初対面なのに全部話しちゃった。あんたの話も聞かせてよ」
アニタが注文してくれた料理を頬張りながら、アンネットは真剣に話を聞いていた。
アニタは、アルプス出身であること、故郷での生活、ロミオの青い空終了後の生活について話した。ロミオの青い空は人気作なので、安定的な収入があり、特別困るようなことはない。ただ、自分は本編においては、主人公の恋人役にも関わらず、ファーストキスを躱されてしまい、オコジョにファーストキスを奪われたこと、第3話で退場したことを話した。本編放送時の生活は非常に貧しく、ポレンタが主食であり、肉や小麦粉は毎日のように食べていたわけではなかったこと。それでも、村では、自分の家はかなり経済的に豊かであり、主人公のロミオなどは小麦粉のパンや肉などはめったに食べられず、貧しさ故に身売りせざるを得なかったことを話した。学校にも通えない。村で文字を読めるのは、司祭様だけであったこと。
「かわいそう…主人公の恋人役なのに3話で出番終了だなんて…それに、生活ぶりも私達より貧しかったのね」
アンネットはアニタの話を聞いて同情した。同じアルプス少女でも、ここまで生活に差があるとは。いや、今や逆転しているかもしれない…それほど「アルプス物語わたしのアンネット」は追い込まれている。
「今日は私が奢るわ!」
アニタが支払いを済ませてくれた。アンネットが申し訳なく思っていると、
「大丈夫よ。『ロミオの青い空』がそもそも人気作品だから、私にも多少は余裕があるのよ。それより…私、先輩のセコンドに付くわ!」
これは大変ありがたい申し出だった。どの選手もセコンドを付けて試合に望んでいる。セコンドの有無によって勝敗が分かれる時もある。
「願ってもないことよ!ぜひ、あなたにお願いしたいわ!それと、先輩なんて呼ばないで、アンネットって呼んで。もう友達でしょ?」
憧れの先輩と友達になれたアニタは大喜びだ。
セコンドだけではなく、スパーリングパートナーとして試合前の調整も手伝えるし、マネージャーの役割もこなせると自信たっぷりだ。
「こんなにしてもらって…私、あんたにどう御礼をしたら良いのか…」
「そうねぇ。別にお礼なんていらないけど、できれば、試合期間中アンネットの部屋で寝泊まりさせてよ。5つ星ホテルなんて泊まったことないもの」
「え?お客さんじゃないのに大丈夫かしら?」
「大丈夫よ!選手の友達ってことにすれば、ホテルのスタッフだって見て見ぬふりよ」
アンネットはそんなものかなと思い、アニタの言う通りにした。
「さあ、ホテルのラウンジで飲み直しよ!そこで、今後の作戦を立てましょう…」
アニタは意味ありげに笑った。
ウェンディVSジュディ
「ピーターパン、どこいっちゃったのよ!」
今日はウェンディの試合だと言うのに、ピーターパンの姿がどこにもない。ティンカー・ベルもいない。昨晩、寝しなのスパーリングで調整しようと思ったのに、お昼あたりから姿が見えないのだ。
『イライラするわね…こんな状態で試合に出たらどうなるかわからないわ』
セコンドについてくれる予定であったピーターパンがいないため、不安でいっぱい…というよりも不満でいっぱいだった。

「青コーナーよりウェンディ選手の入場です!
ピーターパンの恋人とも目された彼女。2の私には触れるな!私は、今、ピーターパンが好きなんだ!彼女にとって、この試合はトーナメント一回戦ではない。トーナメント参戦権をめぐり、ルーシーメイ選手の姉ケイトと闘い勝利しております。
ピーターパン選手がセコンドにつくはずでしたが、不在のようです。不安な表情を浮かべているかと思いきや、すでに鬼気迫る表情!ピーターパンへの怒りか?ジュディ選手編お怒りか?地獄円月輪、ウェンディ選手!」
「本編の通りです。孤児院出身で、ウオール街のドンの一角と呼ばれているジャービス・ペンデルトン氏と入籍し、国際金融資本家となったジュディ・アボット選手。最近では陰謀論者から『ディープステート』扱いされることもあるとかないとか!『お金、持ってますかー!?お金があれば、何でもできる!お金があれば、明日が見える!萌えてるかー!?バカヤロー!!』私に勝てるやつがいたらでてこいっ!ジュディ・アボット!」
第一ラウンド
おおっと!ジュディ選手、いきなり演説を始めたぁ!
「自由と平等と博愛…」
演説…泣いたよなぁ…。ジュディが不憫で不憫でなぁ…もう一回、もう何回目だ…『私のあしながおじさん』を視聴したのは…。ジュディ、ジュリアの成長物語よ…。原作はジュディの手紙だけなのに、よくもこれだけの人間ドラマに仕立ててくれた当時の世界名作劇場のスタッフの方々。本当に感謝しています。当時の方々…本当にありがとうございました!リアタイでも視ていました。あれから、結婚し、子供を二人もうけ、再視聴しました。大人になってから世界名作劇場はひと味もふた味も違う。「私のあしながおじさん」もその一つです。家族で視聴しました。何度でも言います。当時の世界名作劇場のスタッフの方々、ありがとうございました…。゚(゚´Д`゚)゚。
あれ?

第一ラウンド取られちゃったか…。
ジャービスがいなくて不安なのか。本編後半では、孤児である存在を気にし過ぎていて、気の毒だったな。
ジュディのセコンドはサリー、ジュリア、レオノラ。
レオノラが的確なアドバイスを飛ばすも、ジャービス不在で浮足立っている始末。指示は耳に入っていなかった。
ウェンディはセコンドなし。
『ジュディさん…こんなに弱かったの…?』
演説ばかりで攻撃らしい攻撃はない。
このまま試合が終わってしまうのか。
『1ラウンドは警戒し過ぎていた。2ラウンド目は全力で仕掛けてみよう』
セコンドアウト!
「私に力を貸して、立っているだけがやっと。この会場のどこかにいる後見人のおじさま…」
「ジュディさん…演説はもうやめたの?」
「え?」
円月輪で鋭い連続攻撃を繰り返すウェンディ。
ジュディは避けて、防ぐだけ、いや、それすらもできていない。
スピード、パワー、テクニック。すべてが私未満だ。いや、この大会への挑戦権をかけて闘ったケイトの足元にも及ばない。
「ジュディさん、技量ではわたしの遥か上を行くあなたが何ゆえこれほどの遅れを取るのか…」
「磨いた五体以外の何者かに頼みを置く…そんな性根が技を曇らせる」
「ジャービス、ジャービス…」
ウェンディはすでに心底見下げ果てていた。「私のあしながおじさん」時代の輝きを放っていた、孤児院出身のジュディではなくなっていた。アメリカ一の金持ち…いや、世界の金持ちとなったジュディからは闘志が全く感じられなかった。
ヌンチャクを握りしめて、反撃を試みたが、そんな攻撃は見え見えだ。
「お忘れか…あなたはその…卑劣に仕込んだヌンチャクに頼っている。もはや救い難い…」
せめてもの慈悲。
ウェインディがあっと言う間に終わらせてくれました。
KO!!

「孤児院です…」
戦闘の尺とジュディの演説の尺をうまく合わせた監督の編集、お見事でした!アンのように自分のゾーンに引き込んで闘っていたのかと思っていましたが、ジュディからは全く戦闘意欲を感じませんでした。立派な演説の後に、大どんでん返しが来るかと思っていたら、そのままズルズルとKO^^;
ジュディが負けてしまったのは残念でしたが、笑ってしまいました。ウェンディの最後の「おしまい」でうまく締めてくれました。
You Tubeの動画の尺の赤いゲージが、ウェンディVSジュディのところだけ、尺がとっても短い^^;アンVSナナミも短かったけど、それ以上の短さ^^;

動画見ようぜ!
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