世界名作劇場最大トーナメント Dブロック一回戦第三試合 アンネット・バルニエルVSトマス・ソーヤ

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アレルギー反応(呼吸困難、血圧低下など)、急性の吐き気、嘔吐、発熱、血管痛、便秘、遅延性の吐き気、嘔吐、食欲低下、全身倦怠感、排尿障害、膀胱炎、口内炎、下痢、全身倦怠感、腹痛、味覚障害、脱毛など。

準備

アンネットとアニタは、アンネットが宿泊しているホテルのエグゼクティブルームに居た。ホテルのラウンジで大いに飲み食いした後の記憶が、あいまいだった。確か、アニタがキングサイズベッドに大興奮して、飛んだり跳ねたりしていたと思う。それから二人して眠ってしまったのだ。

アンネットが目を覚ますと、シャワー室から音が聞こえる。
そうだった。アニタが大会終了までこの部屋に泊まるのだったことを思い出した。

時計を見るとすでに午前7時30分。9時にホテルの朝食バイキングが終わってしまうので、急がなければならない。アンネットはアニタがシャワーに入っているのもお構いなしに、シャワー室へと入っていった。

「アンネットおはよう!この部屋、ジャグジーバスまでついているのね!入ってみたいわ~」

「じゃあ、今日の夜一緒に入ってみましょう」

アニタもアンネットもジャグジーバスは初めてであった。マッサージ効果もあるそうなので、今から使うのが楽しみだ。

2人は身支度を整え、朝食バイキングへと向かった。
アニタからは闘い以外に様々なアドバイスをもらった。

「せっかく破壊神と名乗っているわけだから、ヒール役でも何でもいいから目立たなくちゃね」

後に、アン・シャーリー&ナナミ戦、カトリ&ラッシー戦、ジョオ&デーズィ戦でモニター越しに登場したのも、アニタのアイディアだった。アンネットを観客の記憶に焼き付ける。試合において存在感を示すのは、もちろんのことだが、武舞台以外でのパフォーマンスを見せることで、観客のアンネット戦への期待を高めていくことが肝心だとも。

パフォーマンスだけではない。
今となっては付け焼き刃かもしれないが、体重差のある相手との闘い方なども、アニタから手ほどきしてもらった。

対戦相手が発表されたのが、4ヶ月前。当時トムの体重は78kg、アンネットの体重が46kgだったので、トムを減量させ73kg契約で試合をすることになった。それでも体重差は約30kg。

アンネットは体重を上げることはできなかった。食べるだけでも精一杯の日々なのに、闘いに向けての高タンパク、高カロリーの摂取などとんでもない贅沢だった。

トムソーヤのこれまでの戦績、実力を考えると闘いは厳しいものになるに違いない。それに加えてこの体重差だ。男の子とは言え、あそこまで鍛え上げた筋肉は見たことがない。トムはトムで減量が大変だろう。

人として

アンネットとトムの試合前の軽量が行われた。

73kg契約。

アンネット選手、46.5kg!アンネットはらくらくとクリア。

「それでは、トム選手お願いします」

片手にアメリカナマズナゲットを抱えてやってきた。小脇にはシリアルの箱を抱えている。

『15ピースじゃ足りないわよね。どれだけ入っているのかしら?しかも、食べながら…!?これ計量なのよ!』

アンネット、アニタ始め、マスコミ陣が驚いているのをよそに、トムはニヤつきながら体重計乗った。

トマス・ソーヤ選手…89.79kg。

契約体重を26.79kgオーバー。

完全なる契約違反!

「どういうことよ!?契約違反じゃないの!人としてどうなのよ!トマス・ソーヤ!」

アンネットが口を開く前に、アニタが勢いよくまくし立てた。

https://youtu.be/aIsRnNn4quE?t=1

「ルールはどうなってるのよ!ふざけるのもいい加減にしてよ!ルールありきのものでしょ!アンネットはねえ、この大会に人生を賭けているのよ!それに何よ、『増体用シリアル』って!?錦鯉の餌じゃあるまいし!」

トムと運営陣に掴みかからんばかりに食って掛かるアニタ。マスコミのフラッシュが激しくたかれ、この分ではアニタの美しい顔が、翌日のスポーツ新聞の1面を飾るに違いない…。

『ほら、アンネット、あんたも何か言ってよ。目立つチャンスよ』

アンネットを小突きながらアドバイスをするが、すぐに気の利いた言葉など思い浮かばない。

「いじわる!いじわるの嘘つき!」

ウィットに富んだ物言いでは無いにしても、可憐な少女がから放たれた素直な抗議の声は、マスコミの心を打った。

『アンネット…なんて子供っぽくて可愛い悪口なの!やっぱり可愛いわ…あんた』

アニタは改めてアンネットを慕う気持ちが強まった。

トムは2人の抗議などには一切反応せず、しきりにアメリカナマズナゲットと増体用シリアルを貪り食っていた。

『それにしても…トムさんってこんなキャラだったかしら?』

まるで別人のようであった。昨年会った時とは雰囲気がまるで違う…。

猛抗議した2人だったが、控室に引き取った後、運営側から説明があった。

このままでは試合にならないこと。体重差が2倍近くもあり、試合そのものが危険であること。無効試合となった場合は、アンネットが2回戦進出となる。

破壊神と名乗っておきながら、相手の体重が重いからと言って闘いを拒否して良いのか。
むしろ、ここで優勝候補のトムに勝利すれば大金星である。遅かれ早かれ彼とは当たる運命だ。

「受けるわ…この試合!」

アンネットVSトム

「超セントピーターズバーグ人トムを知らないものはいない。いたずら好きだが、友情にあつく、情に脆い。彼を慕う少年たちは数知れず。トムやハックに憧れて、冒険を試みた少年は果たして世界中にどれだけいただろうか?世界名作劇場きっての腕白坊主だが、粗にして野だが卑ではない。女の子にはとても紳士なナイスガイ。契約体重なんてお構いなし!筋トレした結果がこれなんだ!筋肉のデコレーションケーキ、トマス・ソーヤー!トム選手のセコンドは、ハック、アルフレッド。ライバルのアルフレッドを連れてきたのは熱いですね。ボクシングの使い手ですし…」

「あれは!!ロビンソン先生!?なぜっ!?」

解説のカセラ教授が驚きの声を上げた。

「まあ、トムソーヤの冒険の登場キャラクターですし、別に不自然なところは…」

「彼は、セントピーターズバーグの町医者として評判が良かったのは存じております。ただ、都会では人を救うためとは言え、狂気じみた医療行為を行ったため、追われるようにセントピーターズバーグへ移住したとも噂されるマッドドクターです。トムのような人がなぜ彼をセコンドに…?」

カセラ教授の不安をよそに、アンネットの入場が始まった。

「アンネット選手の入場です!入場曲は『爆勝宣言』だぁ!破壊王と言われた故橋本真也のもの!令和となった今、名劇キャラで、一番ハングリーなのは誰かっ!?レミもペリーヌもみんなお金持ちになった。では、ネロか?ロミオか?彼らはすでに過去の栄光で暖衣飽食している。私は違う!身にまとった闘気はハングリー精神。実際の身長よりも大きく見えるのはこの闘気のおかげ、一人アルプス山脈だ!
セコンドにはなんと、名劇一裸足の似合う女アニタがついております!『孤軍奮闘しているスイス同胞を見捨てておけない!』アニタもまた、侠気に溢れた素晴らしい女性です!別作品のキャラをセコンドにつけるのは前代未聞です。アルプスのモストデンジャラスコンビと言ってよいでしょう!
圧倒的な体格差があっても怯まない、このまま突き進んで玉砕するのか?それとも、トムをかっさらうのか!?可愛い顔した仏頂面が、ファンの心を掴んで離さない!ガテン系少女最後の牙城、破壊神アンネット・バルニエル!」

アニタ『裸足じゃなくて、生足が似合う女って言ってほしかったなぁ』

第一ラウンド

今までのステージとは違う!異空間!ここは黄泉平坂か!?

そして、音楽が…聖闘士星矢!

沙織お嬢様ボイス!

星矢ではなく、邪武と辰巳を思い浮かべてしまう沙織ボイス。アテナの加護も得られそうなこの闘い。アンネットに有利な気がする。

「人間のクズだわ!あんた引っ込んでてっ!」
「あんたどうしても私と喧嘩したいのね!絶対負けるもんですか!」

キャンディーな潘恵子女史ボイスでの攻撃的セリフ、たまりません!

細っそい…。゚(゚´Д`゚)゚。頑張れ!アンネット!超頑張れ!

アンネットが可愛い、かっこいい!!
目にもの見せてくれよ!

「双方様子見と言ったところでしょうか?蹴り、通常の斬撃を繰り出していく」

『重い。ガードしていても骨にまで響いてくる』

アンネットは圧倒的な体重差とパワー差に圧倒されていた。人のものとは思えないほどのパワーだ。

アンネットの打撃も当たった。

「その調子よ!アンネット!連続連続!回って回って!って…なに!?」

声援を飛ばしていたアニタは驚いた。アンネットに撃たれた箇所の筋肉が肥大している。

「な、なんなのよ、こいつ!」
『まるで、ネロがコラボしたホラーゲームのキャラじゃないの!』
トムの袈裟斬り。

からの…え!?

な、なんだあ!?ゲージが半分近く減るような技は!?
何度見てもよく分からねえ…。踏みつけてから、剣の柄の部分で殴っただけの技なのに。
きっと、肥大化した太い足で踏みつけたんだ。

それにしても一撃が重すぎる。アンネットが持っている大ぶりの武器だと、打ち込む前に、トムに斬り込まれてしまう。素早く連続で斬り込んでくる割には、一撃が重い。

あっと言う間にゲージの色が黄色、あと2発程度でKOされてしまうところまで追い込まれた!

この!意地悪の嘘つき!

「言ったわね!それー!」

回り込んで、襟首を掴んで放り投げる!

叩きつけたところを大斧で薙ぎ払う!

このダメージはでかい!普通の選手なら即死しているはずだぁ!

ここから逆転も行けるよっ!

と思っていたら、下段突きからの斬り上げ!

なんだよ!これ、キャンセル技か!?防げないじゃないか!

コーナーにある椅子に座るなり、アニタは素早く応急処置を始めた。

「トムの体はどうなっているの?殴ったところの肉が盛り上がるのよ!」

「…」

アニタはすぐに答えなかったが、噂で聞いたことがある。一時的に筋肉を肥大化させて、超人的な力を放出させる筋肉増強剤があると。筋力だけでなく、スピードも飛躍的に上がるとも。

「いいぞ!トム!次のラウンドももらったも同然だ!」

アルフレッドはもうすでに勝ったつもりでいた。自分もハックも、スパーリングでトムの強さについていけないのだ。最近は、体重だけでなく筋力、スピードが異様に上がっている。

「ふしゅるるる…いいぞ、トム…」

ロビンソン先生は言うなり、おもむろに注射器をトムの肩に突き刺した。

「おい!先生、何やってんだよ!?」

ハックが気づいた時はもう遅かった。すでに液体は注入されていた。

「こいつはやめろと言ったはずだ!ロビンソン先生!もう打ちたくないんだ!」

トムはロビンソン先生に対して激怒したが、第二ラウンドはもう始まってしまう。内輪もめをしている暇はなかった。
本来、セコンドには応急処置担当としてミッチェル先生が付くはずだった。ところが、トーナメント参戦の話を聞いたロビンソン先生が、セコンドに名のりを上げた。ロビンソン先生の評判は良かったので、アルフレッドも賛成した。

だが、おかしい。試合に向けて体重を絞るかと思いきや、増量につぐ増量。高タンパク高カロリーの食事に加え、増体用のシリアルまで摂取される始末。

第二ラウンド

始めぇ!!!

「アンネット!今のトムには、破壊力のある技でもって一撃で仕留めないと駄目よ!」

「やってみる!!」

「おお~っと!アンネット選手、自分の倍体重のあるトム選手を片手で持ち上げたぁ!!」

アルプスで培った筋力を舐めるなぁ!!

そして、叩きつける!受け身なんて取らせない!顔面から叩きつける!

薪割りのように背中に大斧を叩きつけてからの、岩盤の上の水練!

刺したまま引きずって、そのまま真上にジャンプっ!

貫通^^;
バラバラにしてからかき集める!!

トムの…斬撃箇所の筋肉が肥大している!マッスルガード!

この化け物ぉ!!

空中で回転しながら、岩盤に叩きつける!

どっせ~いいいい!!

「決まった!アンネット選手の奥義がまんべんなく、筋肉のデコレーションケーキに叩き込まれました!」

並の選手であれば、真っ二つになってもおかしくないほどの衝撃だ。

「なに!?またしても、斬撃箇所の筋肉が盛り上がっている!これが…噂に聞く『N・R・S(ネオ・ロビンソン・スペシャル)かっ!?』」

「カセラ教授、N・R・Sとは一体…?」

「瞬間的に筋力を増強させる薬物です。噂には聞いていましたが、名劇医師会では、都市伝説のようなものだと言われております。実在するとは…」

アンネットの大技は効いているはずだ。

立ち上がってきた。

「もっとビシッとした技は無いのかい?アンネットちゃん…」

ダメージを負っているにもかかわらず、トムの猛攻は続いた。防いでいるのに全身に衝撃が走る。関節が痛む、骨が悲鳴を上げている。ハンマーで直接骨を叩かれているような衝撃だ。

トムに打撃を与えたつもりでも、マッスルガードで防がれてしまう。

『体の部位を意識しただけで、肥大化している』

トムはN・R・Sの使用を拒否したものの、薬の強さに酔い始めていた。

「いくらなんでも、鼻を肥大化させることはできないでしょ!」

アンネットはトムの鼻をめがけて頭突き!

「うまいっ!アンネット!そう、そのまま地面に叩きつけるの!」

肥大化できない頭部を地面に叩きつける。トムも頭部への攻撃は効いているようだ。今のうちに!トムの意識が朦朧としているうちに畳み掛ければ、被弾箇所に意識が行くことはなく肥大化することもない。

低空タックルで大斧の柄の部分を、トムの向う脛に当てていく!更に中段突きを2発!

倒したぁ!

最終ラウンド

アンネットは第二ラウンドを取り返したものの、顔面蒼白、全身は小刻みに震えていた。圧倒的な体重差とパワー差のある攻撃を受け続けたため、身体が限界に近づきつつある。

『ここで負ける訳にはいかない。家族の…ルシエンの運命が…いや、『アルプス物語わたしのアンネット』の将来がかかっている!2回戦以降に出場して、ファイトマネーをもっと稼いで、優勝賞金も手に入れて…』

ルーシー、マルコ、アン、ジュディ、そして、カトリ…。古強者たちが、次々と倒れている状況で、私が倒れてしまっては…。アルプス系少女は、名劇の代名詞と言ってもいいほどだ(と、アンネットは思っている)。試合を勝ち抜いてカトリと闘いたかった。そうだ、カトリの分まで負ける訳にはいかない!

「辛いのは十分わかっているわ。あの肥大化した筋肉はスピードも半端ないから、足を狙って動きを止める。顔面への攻撃も混ぜて、注意をちらしていくこと。トムが大技に入る一瞬の隙を見逃さないで」

アンネットは頷いていたが、この状況で、トムよりも早く動けるか自信はなかった。それでもやるしかない。

「始めぇ!」

「トムの全身がすでに膨張している!これは一体どういうことだ!?」

「トム選手が意識的に全身に力を入れているのか、あるいは暴発が始まっているか…いずれにしても非常に危険な状態です!」

解説のカセラ教授が叫んでも、試合は止まらない。

猛烈なスピードでトムが斬り込みをかけ、一の太刀、二の太刀を食らってしまう。

アンネットはすぐに起き上がり、斧を使っての低空タックル!

「そう、足を狙って!」

大斧で足を引っ掛けテイクダウンからの、テコの原理を利用して、トムを跳ね上げた。

これがアンネット式「ジェット・ローラー・シーソー」じゃい!!天井があれば、大ダメージだったはず!

落ちてきたトムを狙って、大斧の薙ぎ払い!

外れた!

これが当たっていれば…戦局が覆ってたかもしれないのに!

トムが息を吹き返したかの如く猛攻!膨張した筋肉だるまの攻撃が、アンネットを襲う!
ゲージがあっと言う間に黄色に。゚(゚´Д`゚)゚。

トムも大技を発動。
が、決まる瞬間にカウンターの一撃を放つ!下腹部への一撃!

頭突き!

からの叩きつけ!

「意識は脳にある…わずか1500gの灰白色で豆腐のように柔らかいもの…。いかにNRSを打ったとしても脳の強度を増すことはできない。アンネット選手はそれに気づいているのか…?」

「は、はあ…そうですか。カセラ教授…(気づいているわけないと思うけど…)」

無論、アンネットはそんなことは知らず本能的に攻撃していた。
頭部への攻撃。斬り込まれる寸前に、頭突きで攻撃を封じていたが…。

トムの攻撃の前には…。

KO。゚(゚´Д`゚)゚。

「勝者、トマス・ソーヤ!!」

「ア、アンネット~!!」

アニタは一目散にアンネットに向かって駆けていった。

動画見ようぜ!

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