エクトール・マロの「家なき子」を読む! その16

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「あんまり幸せすぎる。いつまでもこれが続くわけがない」
不幸がどこから来るのか、予想はつかなかったけれど、僕は、どこからにせよ不幸が自分の身に降りかかることを、ほとんど確信していた。

エクトール・マロの「家なき子」を読む! その15
運良く、花作り農家を営むアキャン一家に救われたレミ。実に良い家族です。このままアキャン家に留めてくれるとのこと。レミの容態はどうでしょうか?意識が戻って、ハープを弾けるようになったとはいえ、完全ではないはずです。「肺炎です」当時、貧しい人々…

まだ13歳くらいの男の子ですよ。゚(゚´Д`゚)゚。

そんな確信してしまうだなんて、今まで辛い目に遭い過ぎたせいです。
社会人になって30代半ばくらいになってから感じることじゃないですか。あまりにもうまくいきすぎているので、もうそろそろ…みたいな。

挿絵も…
せっかくリーズにハープの弾き方を教えている微笑ましいシーンなのに、アークデーモンみたいなキャラをぶち込んでくる…容赦のない暗示。

大不幸到来

花は見事に育ち、今年はきれいな花をたくさん売ることができる。
労働のあとの家族団らん、お腹いっぱい食べられる食事。

しかし、不幸は突然やってきました。ある日、猛烈な豪雨とヒョウに振られて、温室ガラスがすべて破壊され花畑は荒れ放題に。アキャンは土地を15年ローンで返済しており、すでに10年が経過していました。10年真面目に返済していましたが、1回でも返済ができなかった場合、土地も家も資材も取り戻し、しかも、10回受け取ったローンは一切返さないという超悪条件でした。

すべてを失ってしまった一家。
子供達はそれぞれ親戚のうちに引き取られることになりました。
アキャン氏はなんと刑務所にぶち込まれることに…。

「家や土地を売っても足りない。それで刑務所で5年間、金で払えない分をこのわしの体とわしの自由で支払わなくてはならんのだよ」

そこまで重いんですか!?
さすが、パリ容赦なく弱者からむしり取る仕組み。現代日本も「相続税」という、打ちひしがれた遺族からむしり取る合法的追い剥ぎのような徴税装置がありましたな。。。

体でなんて言うものだから、臓器かと思いましたが、この時代は流石に無理な話です。5年の懲役、重労働ってところでしょうね。

残った子供たちは、それぞれ親戚のうちに引き取られていきました。レミも当初はリーズのおばカトリーヌについていこうと思いましたが、拒否されてしまいました。

姪っ子の面倒を見るだけで精一杯。旦那から「何だそのガキは?」と、言われるかも知れない。その時は「この娘は姪っ子だよ」と言い返し、守ることができる。でも、レミは?血の繋がりのない人間がいたら、擁護することはできません。

リーズはモルヴァン山地のカトリーヌおばのもとへ。
アレクシはセヴァンヌ地方で炭鉱夫をしているおじのもとへ。
バンジャマンはサンタンカンで花作りをしているおじのもとへ。
エチエネットは結婚してエスナンドにいるおばのもとへ。

レミはここでごねたりしません。散々苦労してきましたし、何より他人の気持ちを理解できる子です。カトリーヌおばさんを恨み言ひとつ言わず、自分の立場をよくわきまえていました。

愛のために生きる。天涯孤独ではない

レミだけでなく、アレクシら兄弟もレミのことを兄弟だと思っていました。リーズは泣きながらレミに飛びついて別れを惜しんでいました。

「ぼくらの兄弟だよ!いつまでも!」

リーズは話せない代わりに、レミの手を強く握り心のこもった瞳で見つめる…。リーズはまだ8歳、9歳くらいなのに、人の痛みや気持ちがよく分かる子なんですよね。

ここでレミは、自分がみんなの兄弟である証拠を見せてあげようと、思い切った提案をしました。

自分はパリにとどまらず、旅芸人をして生きていく。旅をしながら、フランス中に散った兄弟たちに順繰りに会いに行くこと。まずはリーズ、それから他の兄弟たちに会っていく計画です。兄弟たちは大喜び。

その翌日、リーズはレミを呼び出し、最初に自分を尋ねるのではなく、4番目にたずねてほしいと伝えます。

レミは真っ先に君に会いたいから、一番最初にしたのに、なぜこんなことを言うのか不思議に思っていると、

「他の兄弟を先に訪問してから私のところに来て。みんなの消息を聞きたいから」

ということをレミに伝えました。

『なんて可愛いリーズ!』
と、レミも胸キュンしてしまうほど!
本当に可愛いんですよ、リーズ。ぜひ原作をご覧になっていただきたいです。名作劇場系の原作には数多くの魅力的なヒロインが存在していますが、リーズは新手のヒロインです。言葉はまだうまく話せないけれど、とっても賢く、表情や仕草で感情を伝えるのがうまく、みんなからも好かれる愛されキャラ。それでいてとても聡明。

今回は一時物語から離脱しますが、ものすごい伏線を張ってくれているので、近いうち必ず会える気がします。

兄弟のアレクシはお金にケチな子でしたが、なけなしの100スー銀貨をレミに選別として与えました。バンジャマンはナイフを。

リーズは別れ際に投げキッスを送り、みんな去っていきました。
残ったのはレミ一人。近所に住む親父さんが、給金は上げられないが、うちに住み込みで働かないかと言われました。

「どこへ行くんだね?」

「足の向く方へ」

それを丁重に断り、レミは旅へ。

こういった誘いを断る時の文句も堂に入ってきていますね。世紀末キャラの主人公みたいなセリフをサラッと言っても違和感ゼロ。

この二年間は、結局、一時の休止でしかなかった。僕は再び旅を続けなければならないのだ。
はっきりと自分の手足に感じられるちからにも増してというのは、この心のなかに感じる友情だった。

僕はもう、この世の中にひとりぼっちではない。

人生に、僕は一つの目標を持った。僕が愛し、僕を愛してくれる人たちの役に立つこと、そして彼らを喜ばせること。

レミ!!!!

なんて漢らしい…。世界名作劇場のロミオやアルフレドに優るとも劣らない、いや、それ以上の強さを持った漢。

読み始めたら本当にのめり込んでしまう作品です。
未読の方はぜひ、騙されたと思って読んでみてください!

!第一部完!

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