運良く、花作り農家を営むアキャン一家に救われたレミ。
実に良い家族です。このままアキャン家に留めてくれるとのこと。

レミの容態はどうでしょうか?
意識が戻って、ハープを弾けるようになったとはいえ、完全ではないはずです。
「肺炎です」
当時、貧しい人々の間では、医者など呼ぶのはよっぽどのときです。しかし、レミは自分自身の子供ではないのに、アキャンさんは呼んでくれたのです。
アキャン一家の重鎮は父親であるアキャンさんですが、彼を支えている内助の功は誰なのでしょうか?みな年端のいかない子供達ばかりなのに。
長女エチエネット
アキャン一家を支えているのは14歳の長女エチエネットです。
学校へはいかずに炊事洗濯、リーズのお世話、着物にボタンをつけたり、ツギハギをつけたり…。家族からは娘や姉であることは忘れられて、メイドとみなされていました。また、穏やかな性格なので、みんな遠慮も気兼ねもせずに様々な雑用を頼むような立場になっていました。
一日中働き詰め。弟のバンジャマンの手を引き、家事の合間に花作りの手伝いもする。子供らしく遊ぶ暇が全くありませんでした。レミによると、その姿は14歳にもかかわらず35歳のオールドミスのような寂しそうな思わしげな顔をしていた…でも、その顔には優しさと諦めの光があったとのことです。
もちろん褒めているのですが、オールドミスやら諦めの光がと言われるとなんだかモヤモヤします。エチエネットが幸せになれますように・・・絶対良いお嫁さんになること間違いなしです!
レミが肺炎に罹患し、医者は入院を勧めましたが、アキャンさんは「うちで面倒を見る!」と言って突っぱねました。経済的な事情ももちろんあるでしょうが、家族の一員なのだから可能な限り家族で介抱したいという強い気持ちが伝わってきました。看護のメインはもちろんエチエネット。エチエネットの負担増です。まるで病院の修道女の如く、イライラしたりうっかりミスなどもなく的確な看病をしてくれました。
エチエネット…絶対に幸せになってほしい!

アキャン家の一員になり2年
何度もぶり返すようなひどい病気でしたが、リーズも看病の手伝いをしてくれ、レミはゆっくりと回復。軽快してきたので、軽作業から花作りのお手伝いを開始。アキャンの息子たちとちょっとしたことで喧嘩しても、その日の夕食を食べる頃にはすぐ仲直り。
体調が良くなってからは、重労働の畑仕事にも精を出します。
確かに仕事は辛いけれども、心地よい疲労と三度の安定した食事、温かい家族。ほうぼうを旅して見識を広めていく暮らしも良いけれど、その日暮らしにはない安定した日々。
本のページ数は短いですが、ここでは2年過ごしました。12歳、13歳の男の子が、こんな日々のありがたさを噛みしめるって…レミは本当の苦労を知っています。幼いけれども、死線をくぐり抜けてきた漢です。
農作業を過ごしながらの日々を語るレミを見ていると、悪の大魔王を倒し王様からの仕官の誘いを断って農業に励みながら、平和を噛みしめている勇者みたいな感じなんですよね^^;レミは花作りだけでなく、花売りもしていたので、パリの街にも詳しくなりました。これでもうお上りさんなんて言わせない。
リーズとも非常に仲良くなりました。よく一緒に散歩をしましたし、リーズは声を出せないけれども、レミと見つめ合うだけで意思疎通ができてしまうほど。文章を読む限り、リーズはまだ小さいですし、あからさまな恋愛関係にはなっていませんが、浮ついた恋愛などではなく尊い愛が感じられます。レミがハープを弾くたびに、リーズが感動して涙を浮かべるのがもう…。
父親のアキャンさんも、ただの農家のおじさんではありません。若い頃はお金を節約し、植物学に関する本を買い漁り猛勉強して花作りの道を歩んだのです。二人の息子は彼の向学心を受け継いでいませんが、リーズはしっかりと受け継いでおりました。
レミが読書をしていると、リーズがやきもちを焼いて本を取り上げてしまうこともありましたが、どうしてそんなものとにらめっこしているのか不思議に思い始め、レミに本を読み上げさせたり、一緒に声を出して読む練習をしたり、絵の描き方も教えてあげました。
「ロミオの青い空」でも同じようなシーンが…。ロミオがアンジェレッタに文字を教えてもらいましたが、レミは逆のパターン。こういうシーンは大好きです^^
このままアキャン家に留まり、家族の一員として過ごしていく、幸せな日々を過ごせると思っていた…。
運命の定めで、僕はどうしたって長い間幸せでいられないのだ。安らかな暮らしを保証されて、もう大丈夫と、思うまさにその時、自分の意志と無関係な出来事によって、またしてもさすらいの生活に放り出される…これ自分の運命なのだ…。

絶望的なタイトル!




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