エクトール・マロの「家なき子」を読む! その13

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前回はマチアの自己紹介ならぬ事故紹介で終わってしまいました。

エクトール・マロの「家なき子」を読む! その12
「ガロフォリ親方は出かけました。あと二時間しないと戻りません」ガロフォリのアジトに住む10歳くらいの男の子を発見!この子は一体何者なんだ…?彼は、レミがひと目見ただけでも驚くような異様な姿とのことです。胴体がない。不釣り合いに大きい頭。何年…

病気になって入院した方がマシ、どころか幸せすら感じてしまう。子供達を連行し、日銭を稼がせる。ノルマをこなさなければ親方のガロフォリに棒や鞭で殴られる。煙突掃除や暖炉職人のもとへの派遣も行っていました。児童の売買までやっていたのかもしれません。黒い兄弟に登場した煙突掃除を斡旋する人買いルイニよりも恐ろしい男だったかも知れません。

いつものコース「宿無し」

ヴィタリスはレミを連れてガロフォリのもとから飛び出していきましたが、レミは空腹でヴィタリスもろくに手持ちがない。

「今夜は夕食抜きで寝なければなりそうだ」

またかよ…。
生命からがらパリに着いたから仕方がないか…。
レミが、今晩はガロフォリのところに泊まろうとしたのかと聞くと、

「あそこに泊まらせるつもりだったし、わしは冬の間お前を貸す代わりに、20フランばかりガロフォリがよこすだろうから、当座はなんとかなると思っていたのだ」

おいっ!
じじいっ!

レミを貸すだぁ!?

20フランで当座を凌ぐって、自分だけなんとかなろうとしていたのか!?ガロフォリのことはずいぶん前から知っていたはずなのに、子供達の仕打ちをまるで今知ったかのような素振りでした。人を見誤ったではすまされません。
大事なレミを預けようとしたということは、今までは相当信用されていたのでしょう。人生経験豊富なヴィタリスのらしくない…人を見る目がなさすぎました。

ますます高まる、私のヴィタリスへの怒り。

「さて、どこへ行こうか?」

え?
行くってどこへ?ついさっきパリに着いたばかりなのに?

パリには何度も来たことがあるし、「自分一人なら演奏を教えて、楽に喰っていける」と豪語していたのに、蓋を開けてみれば、寝泊まりできるところがガロフォリの家以外にないという絶望的な状況。

「ジャンティイに行こう」

溝が凍りつき、寒風が吹き荒れる夜のパリ。今から出発とか、ついこの前の雪中行軍が如何に危険だったのか、全く反省の色がありません。猿と犬二匹を失ったばかりでしょうに…。

ジャンティイは近いのか?
馴染みの人物の家なのか?

「わしが寝たことのある石切場だ」

えええ…?

風はしのげても寒さはしのげなさそうです。つまり野宿ですね。パリ市内で野宿は無理だからということなのでしょうけど。

凍りついた道をジャンティイへ向かって歩き始めましたが、すでにヴィタリスは歩くことも辛そうで、手も熱くなって痙攣し始めていました。普段、師匠に遠慮して自分から話しかけないよう気を遣っているレミも、心配して話しかけてしまほどです。

病気なのでは?と、聞かれてもヴィタリスは「前へ進め!」と。

アニメ「家なき子レミ」でもおなじみのセリフ「前へ進め!」ですが、原作では破れかぶれになったときにヴィタリスが叫んだだけのセリフで、ありがたみや重さが全く感じられません。この時点では。アニメでのこのセリフは、レミだけでなくマチアを始めとする子供達を支え、助けてくれた素晴らしいセリフだったのですが…。

パリの郊外で迷子

強引に歩みを進めていると、ヴィタリスの目が見えなくなってしまったようです。地面を這うように、野原を歩く。

「木立はないか?車輪のあとはないか?」

と、ヴィタリスに聞かれても、レミには全く見えません。

「お前は怖がっているからしっかり見られないのだ!」

ちょっ…

レミのせいですかい??

「あと五分歩いて木立が見つからなかったら引き返そう」

すでに迷い始めているのだから、引き返す方法もなさそうですが、結局引き返すことに。

前進めと言ったり、引き返せと言ったり…ったく。
引き返しているときに、レミは明かりを発見。パリの郊外ですから、もしかしたら宿を貸してくれるかもしれないと期待したからです。

「そんな光などわしらの役に立たん!パリの郊外では他人を泊めたりしない!儂らのための家などないのだ!さ、行こう!」

パリは修羅の街。エクトール・マロの本を読めばわかること。
結局、件の石切場と思しきところに着いたのですが、塀しか見当たりません。周りを回っても入口がない。塀で囲まれてしまって、入口が塞がれてしまい中に入れない。

レミ「それじゃあ!?」
ヴィ「どうするか、というのだろう?わしにはわからん。ここで死ぬか。」
レミ「そんな!お師匠さん!」

くっ…ヴィタリス!
ミリガン夫人と引き離しておいて…ここまでさんざん引っ張っておいて…

ふざけるなっ(# ゚Д゚)!

レミが言った通り、どこかの家にお願いして納屋にでも入れてもらったほうが良かったかも知れません。死にそうな爺さんと可愛い男の子だったら、そこまで警戒されずに泊めてくれたかも知れません。

「パリへ引き返そう!警官に出会ったら、署まで連れて行ってもらおう。」

この期に及んで結局は警察署か…。すでに夜中の12時、1時頃です。凍死してしまうような超極寒です。ヴィタリスの体力は限界、先程は座ったら二度と立ち上がれなくなってしまうので、前へ進め!と言っていましたが、ついに力尽きてしまい、休憩を取ることとに。

堆肥と藁が積んである場所へ緊急避難し、風よけを作ったけども寒さはしのげない。ヴィタリスとレミは寄り添い、カピを乗せて温まろうとしますが、それでも体温は奪われていきます。

レミはヴィタリスが口づけしてくれたことを感じ、遠のく意識と戦いました。この日はほんの少しパンを口にした程度で、雪中行軍から慢性的な空腹状態が続いていました。ここで眠ってしまったら生命が危ない。つねっても痛みを感じなくなり、風が強いはずなのに周囲は静寂。

そして、レミの意識はシャヴァノンへ、母親が洗濯物をしている…そして、白鳥号のミリガン夫人が浮かぶ…。

遠のく意識…これは走馬灯…。

レミが気の毒でたまりません。
こんな目に遭わされてもヴィタリスに対して恨み言一つ言わずにいます。心が穢れてしまった私だからかもしれませんが、この時点では、ヴィタリスへの不満が溜まっております。一般的な家なき子読者はミリガン夫人からレミを引き離して以降のヴィタリスに対してどのような感情を持っているのか知りたいです。

エクトール・マロの「家なき子」を読む! その14
ガロフォリの家から飛び出したものの、行くあてはなし。宿も泊まれず、パリ郊外にある石切場で野宿をしようと、寒風が吹き荒れる中徒歩で移動。散々迷った挙句、石切場は閉鎖しており、堆肥と藁を積み重ねて夜を過ごすことになりました。リーズ!このタイトル…

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